熊本市の2025年度の市立学校教員採用試験において、採用予定数314人に対し、合格者数が262人にとどまり、52人の定員割れを起こしていることが分かった。こうした状況を受け、同市教育委員会は10月4日から追加募集をし、12月1日に試験を実施する。同市教委の担当者は「退職者の数以上の積極的な採用を目指していたので、直ちに教員不足にはつながらないと考えているが、今後さらに新卒の受験者を増やせるよう取り組んでいきたい」と話している。
同市教委の担当者によると、近年、退職者の増加や小学校での35人学級制の導入、特別支援学級の増加などが要因となり、採用予定数が増加。19年度は164人だったが、24年度は318人、25年度は314人と高止まりが続いている。その一方で受験者数は、24年度は559人だったが、25年度は474人と15%ほど減少している。
25年度の市立学校教員採用試験では、特に中学校・高校の主要教科で定員割れが目立った。国語と数学、理科はいずれも採用予定数が16人のところ、受験者数が14人、それぞれ合格者は11人、10人、12人といずれも定員割れした。また、英語は採用予定数が22人のところ受験者数は20人、そのうち合格者は10人と大きく定員割れ。中学・高校の特別支援教育推進も、採用予定数が30人のところ、受験者数は15人、合格者は13人だった。
追加募集では、小学校の特別支援教育推進を5人、中学校・高校の国語が5人、数学が6人、理科が4人、美術が2人、家庭が2人、英語が12人、特別支援教育推進が15人、高校の商業を1人程度募集する。
受験資格は▽1965年4月2日以降に生まれ、志願する校種・職種、受験区分別に必要とされる免許状を有しているもの▽熊本県外の国公立学校の現職正規教員または県内外を問わず、過去に国公立学校で正規教員だったもので、いずれも通算3年以上の勤務経験があるもの━━などとしている。
今回の追加募集の対象者を現職経験者とした理由について、市教委の担当者は「追加募集なので、筆記試験を課すことは難しかったため、一定の能力の担保が必要だった」と説明した。
今後は、10月4日から10月21日まで申請受け付けし、試験は12月1日に同市立必由館高校で行われる。試験内容は、模擬授業と個人面接。合格者は12月下旬までにホームページなどで掲載される予定となっている。
市教委の担当者は「退職者の数以上の積極的な採用を行っており、臨時的任用教員の補充は厳しくなるが、追加募集に満たなかったとしても、直ちにそれが教員不足にはつながらないと考えている」と説明。「採用予定数の高止まりが続く中、不合格者数も減ったことで翌年に受験する人も減っている。現状、既卒の受験者を増やすのは難しいが、一方で新卒の受験者はここ数年横ばいなので、そこをさらに増やしていく取り組みを進めたい」と話した。