校門の早朝開門で「小1の壁」解消を 関西で取り組み広がる

校門の早朝開門で「小1の壁」解消を 関西で取り組み広がる
iStock.com/paylessimages
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 小学校の校門の開門時間を1時間早めて児童を受け入れることで、共働き世帯などを支援しようという動きが関西で広がっている。朝7時から子どもを預けられる保育所から小学校に進むと子どもを預ける場所がなくなる「小1の壁」に悩む共働き世帯が多い中、大阪府豊中市は今年4月から全小学校で早朝開門を実施し、予想以上の利用に手応えを感じているという。神戸市も9月から一部学校でモデル事業を始めている。

 「子育てしやすさNO.1へ」を掲げる豊中市は、4月から39の市立小学校全校で校門の開門時間を1時間早めて午前7時とした。教育委員会から各校に見守り員を2人ずつ配置し、早く登校した児童は体育館などで読書やタブレットなどを使って自由に過ごすことができる。見守り員の委託料は年間約7000万円で、保護者が付き添って登校することが条件。午前8時前から校門の前で待つ児童や、自宅の鍵をかけて1人で登校する児童がいることから、同市のプロジェクトチームが子育て支援策として提案したという。

 同市教委によると、現在、1年生を中心に約880人の児童が利用希望者として登録されており、1学期は延べ約5900人が利用した。多い学校では1日13~14人ほどが利用しているといい、同市教委は「当初の予想を上回る利用があった」と話し、さらに拡充することを検討している。保護者へのアンケートでは、「働きやすくなり助かっている」という声がある一方、「通勤先が反対方向なので親の付き添いが負担」などという声もあったという。また、夏休み中に学童保育を利用する児童の保護者から、夏休み中の早朝開門を望む声もあり、今後検討することにしている。

 一方、神戸市は今年9月から11月までの3カ月間、市内の7小学校でモデル事業として児童の早朝受け入れ事業を始めた。1校当たり警備員1人と見守り員2人を配置し、早く登校した児童は図書館や多目的室で読書などをして過ごしている。仕事の都合などで、保護者から「小学校の登校時間を早めてほしい」との要望があったことを踏まえて試行することになったという。

 モデル事業の対象となった7校は、地域や規模などのバランスを考慮して選んだといい、5校は午前7時、2校は同7時半に開門している。利用希望者として登録されているのは7校全体で約100人に上り、1日当たり34人が利用している。

 同市教委は「モデル事業の利用状況や保護者へのアンケートなどを通じて、まずニーズや課題を把握し、検証したい。市内全体で小学校は163校あり、現時点で拡大するかどうかまでは決めていない」と話している。

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