教員65%「メンタル不調を経験」 神戸市教委、対策を強化

教員65%「メンタル不調を経験」 神戸市教委、対策を強化
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 神戸市教育委員会が同市立の学校・幼稚園の全教員を対象にした調査で、回答者の65%が「メンタルの不調を感じた経験がある」と訴えていたことが、このほど分かった。9月の市総合教育会議に報告された。市教委は「事実として受け止めた上で、教員のメンタルヘルス対策に力を入れていく」として、保健師による相談窓口開設などの対策に乗り出した。

 市教委によると、今年2~3月、市立の幼稚園や小中高校、義務教育学校、特別支援学校の全教員8685人を対象に「メンタルヘルス対策強化に向けたアンケート」を実施。半数近い4101人から回答を得て、このうち65.1%(2668人)が「メンタルの不調を感じたことがある」と訴えた。市教委では「現在の状況だけではなく、メンタル不調の経験があるかどうかを尋ねる設問であり、経年や他地域との比較材料がないという点はあるが、今後も教員のメンタルヘルス対策には力を入れていかなければならないと感じさせる結果だ」と受け止めている。

 メンタル不調の要因(複数回答可)は「業務負担過多」(54.7%)が最多。「保護者への対応」(51.6%)、「対処困難な児童生徒への対応」(50.2%)も多かった。また、15.2%(625人)がメンタルクリニックなどの医療機関を受診したことがあると回答した。

 精神疾患での休職者は2022年度が105人。18年度の68人の1.5倍となり、在職者に占める割合は1.29%だった。全国の政令市では大阪市の1.39%に次ぐ高さで、全国平均0.71%の1.8倍にもなっていた。

 このため、市教委では、文部科学省の公立学校教員のメンタルヘルス対策調査研究のモデル事業として23年度、約1300万円の交付を受け、調査と対策を進めてきた。専門的な助言を得るため、産業医の資格を持つ大学教授にメンタルヘルス対策アドバイザーを委嘱。続いて今年度は市教委事務局に保健師を1人配置し、5月に教員専用の「こころと身体の相談窓口」を開設した。学校への出張面談、新規採用教員を対象とした面談を実施している。

 また、スマートフォンのアプリケーションを活用したセルフケアプログラムを展開し、保健師による休職者のフォロー、面談による復職支援を進めている。ただ、産業医や精神保健福祉士などの産業保健体制は他都市と比較して弱く、体制強化が早急に求められるという課題も見えている。

 保護者・地域対応なども教員にとって負担が大きいことから、今年1月には、保護者・地域団体向けの依頼文で「本来は家庭や地域で対応・解決してもらう相談や要望が学校に寄せられ、そのための対応などで学校業務が肥大化し、他の要因と合わせ、教員の長時間勤務が深刻な状況になっている」として、学校外の問題は対応が困難なことや、休日などの地域行事に一般教員の参加を控える場合があることを示し、理解と協力を求めている。

【お詫びと訂正】 6段落目の「若手教員向けにスマートフォンのアプリケーションを活用した」を「スマートフォンのアプリケーションを活用した」に、「復職支援をモデル校で進めている」とあったのは「復職支援を進めている」に修正しました。

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