全国学力調査の毎年実施に宮城県知事が疑問 文科相「理解得て」

全国学力調査の毎年実施に宮城県知事が疑問 文科相「理解得て」
全国学力調査を巡る宮城県知事の発言について述べる阿部文科相=撮影:山田博史
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 毎年実施されている全国学力・学習状況調査を巡り、全国知事会会長を務める宮城県の村井嘉浩知事が「学力調査自体は必要だと思うが、労力や費用もかかり、毎年行う必要があるのか」などと問題提起し、全国の知事にアンケート調査を行っていることが10月11日までに分かった。これを受けて阿部俊子文科相は同日の閣議後会見で、「学校現場の負担軽減に向けてCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)を推進するなど改善を進めており、全国知事会や関係者の理解を得ながら必要な取り組みを進めたい」と述べた。

 村井知事は10月9日に行われた同県の知事会見で、夏の全国知事会の非公式な意見交換の場で、全国学力調査を巡り、「毎年行う必要があるのか」「都道府県の正答率だけ公表することに意味があるのか」といった意見が出されたことに触れて、「学力調査自体は必要だと思うが、毎年やる必要があるのか。非常に労力もお金もかかり、よく考える必要があるのではないか」と問題提起した。すでに知事会で各知事へのアンケートを実施しており、結果を踏まえて知事会として正式に議題として取り扱うかどうか検討することにしている。

 これについて阿部文科相は会見で、村井知事の発言を承知しているとした上で、全国学力調査について、「全国的な児童生徒の学力状況を把握すると同時に、一人一人の学習課題を把握して学習指導に生かすという目的で毎年度、悉皆により実施している。これによりわが国の学力水準の維持向上が図られてきたと感じている」と、改めてその意義を強調した。

 その上で、「学校現場の負担軽減に向けてGIGAスクール構想と併せてCBTを推進するなど、さらなる改善の準備を進めている。引き続き全国知事会をはじめ関係者の理解を得ながら、調査の改善や必要な取り組みを進めたいと思う」と述べ、全国学力調査への理解を深めてもらうとともに負担の軽減に努める考えを示した。

 全国学力調査の結果については、同省は国全体や都道府県別の正答率などのみを公表しており、市町村別や学校別のデータは地元の教育委員会や学校に提供し、取り扱いについては現地の判断に任せている。公表については、実施要領で「序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要」として注意を促している。

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