GIGAスクール構想に基づき、全国の公立高校などに整備された生徒に貸与するためのノートパソコンやタブレットなどの端末機について、会計検査院が38自治体について調査したところ、国の補助金で整備された約9万5600台のうち、34%に当たる約3万2800台が一度も活用されていなかったことが分かった。補助金約12億7000万円に相当する。検査院は10月15日、文部科学省に対し有効活用の方法を検討することを求め、意見を示した。
文科省では2019年度から、「1人1台端末」を掲げるGIGAスクール構想で、3000億円かけて全国の小中学校に約900万台のタブレット端末などを整備。公立の高校や中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部を対象とする補助事業では、生徒が各自で用意することになっている自治体に対し、低所得世帯で奨学金を受給する生徒に貸与する端末の購入費として1台4万5000円を上限に補助している。
この高校などへの補助事業について、検査院が16道府県と全国22市町村の計38自治体を抽出して調査したところ、計9万5554台の整備に補助金38億1309万円が交付されているが、今年4月末までに管理台帳などで確認された貸与のピーク時の台数は計6万2752台で、3万2802台は一度も貸与されていないことが分かった。交付された補助金12億7048万円に相当する。
整備した端末の貸与台数が25%未満という自治体も2県6市に上った。この中には、別の事業で性能の良い端末を導入し、補助事業で整備した端末の貸与が0台という市もあったという。
検査院では、事業導入時がコロナ禍と重なり、各自治体が需要予測を多めに見積もって整備したことや、貸与率が低調になっても貸与対象の見直しを進めなかったことが、およそ3分の1の端末が未活用となった原因と捉えている。検査院は「今後も貸与が見込まれない端末が多数あるのは適切ではない」として、文科省に対し、自治体に有効活用させるよう情報提供、周知することを求めている。
文科省は対応を検討中だが、未活用の端末について「教員が使用したり、児童生徒用の端末機に不具合があった場合の予備機としたりするほか、PTAの利用などが考えられる」として、有効活用に向けて自治体に周知していく方針を固めている。