保育者の79%「事務作業量多く負担」 仕事の満足感にも影響

保育者の79%「事務作業量多く負担」 仕事の満足感にも影響
iStock.com/kokoroyuki
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 負担感が少なく、職場に一体感があると仕事への満足感が高い――。ベネッセ教育総合研究所がこのほど公表した「幼児教育・保育についての基本調査」で、保育士や幼稚園教諭のこうした傾向が明らかになった。「事務作業量が多くて負担である」と回答した保育者は79.4%に上った。同時に、負担を感じている回答者より、そうでない回答者の方が10ポイント以上、仕事の満足感が高いという結果が示された。

 同研究所はベネッセコーポレーション(岡山市)の社内シンクタンク。2007年以降、ほぼ5年ごとに保育所や幼稚園を対象にした全国調査を実施してきた。今回が4回目だが、園長以外の保育士や幼稚園教諭といった保育者を対象にした大規模調査は初めて。23年11月から12月にかけて、全国の1万6488カ所の保育所、幼稚園、認定こども園に依頼し、各園の担任クラス、年齢、性別を考慮して保育者4人の回答を求め、全国から1万5143人の回答を得た。

 調査結果は、保育者の7割が職場や仕事に満足しているが、8割が事務作業の多さに負担を感じているといった実態を示している。「職場の人間関係は良好」に「とてもあてはまる」と「まああてはまる」を合わせた肯定的な回答は82.1%、同様に「自分の仕事に満足している」74.8%、「自分の職場に満足している」73.6%となり、仕事、職場への満足感を示す回答が7割を超えた。一方で「休暇を取得しやすい」は44.7%、「給与と仕事量のバランスはとれている」は27.4%と低く、待遇面での課題も浮き彫りになった。

 仕事の負担感については、「事務作業量が多くて負担である」79.4%、「配慮を必要とする子どもへの対応が負担である」66.9%、「子どもを預かる責任が重く負担である」63.8%などが高く、「労働時間が長く負担である」という回答も56.1%あった。

 「事務作業量が多くて負担である」と感じている回答者と、感じていない回答者の仕事の満足感を比較すると、「負担感あり」72.6%に対し、「負担感なし」83.0%と10.4ポイントの差があった。「労働時間が長く負担である」では、「負担あり」69.5%、「負担なし」81.5%で12.0ポイント差だった。

 また、「園全体に一体感がある」と感じている回答者の80.7%が仕事への満足感を示し、そう感じていない回答者の51.0%とは29.7ポイントもの差が開いた。保育者同士の連携の有無、園長のマネジメント力の有無でも、仕事への満足感に20~30ポイントの差があった。

 同研究所の野﨑友花研究員は待機児童の解消が進み、保育・幼児教育の問題は量の確保から質の向上へとシフトしているとの認識を示した上で、「保育者が仕事に満足できる環境を整え、離職を防ぐ支援が必要だが、多くの保育者が高い負担感を抱えていることが分かる。さらに調査結果の分析で仕事満足感と仕事負担感は関連があることが明らかになった。保育者の負担を軽減し、働きやすい環境を整えることは社会的課題といえる」と指摘している。

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