教師のリテラシー向上支援も重要 生成AI利活用検討会議

教師のリテラシー向上支援も重要 生成AI利活用検討会議
生成AIのガイドライン改訂に向けて意見が交わされた検討会議=オンラインで取材
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 学校現場での生成AI利用のガイドライン改訂に向けて議論している、文部科学省の生成AI利活用に関する検討会議(座長・石川正俊東京理科大学学長)の5回目の会合が10月18日、オンラインで開かれ、改訂のポイントを巡って議論が交わされた。この中で、学校でのAI活用を適切に判断するためには教師にも一定のAIリテラシーが求められるとしていることについて、委員から「現場の先生にはハードルが高く、教員養成大学の支援も考えられる」「教員養成から採用、研修の一貫した流れでAIを利活用する力を身に付けるシステムづくりが重要だ」など、教員へのサポートの必要性を指摘する意見が相次いだ。

 同会議では、生成AIによる社会の変革が急速に進む中、昨年7月に作成した学校現場で活用する暫定的なガイドラインの改訂に向けて議論を続けている。同日はこれまでの議論を踏まえて同省がまとめた検討のポイントとなるたたき台が示された。

 この中では、ガイドラインの位置付けや生成AIの利活用に当たっての基本的な考え方、教職員や児童生徒が利用する場面で押さえておくべきポイントが説明された。基本的な考え方としては、人間中心の学校現場での利活用に向けて、教師には児童生徒の学びを支援する伴走者としての役割が一層求められるとともに、学校現場でのAI活用に関する判断を適切に行うためにも一定のリテラシーが求められると示された。また、教育委員会の役割として、生成AIを巡っては学校や教員間で差が大きいことが指摘されているとして、AIに関する理解・活用の事例を深める研修の実施が望まれることも盛り込まれた。

 これについて、藤村裕一委員(鳴門教育大学大学院学校教育研究科教授)は「教師がよりよい教育に生かす視点とAIリテラシーが求められる点は重要だが、現場の先生方が理解するにはハードルが高い。教職課程を有する学部・大学院が教委の支援にあたることも期待でき、こうしたことも記述してほしい」と提案した。

 細田眞由美委員(兵庫教育大学客員教授、前さいたま市教育長)は「AI活用が大きな効果をもたらすことができるという観点で、教育に関わる者が常に学び続け、アップデートすることが大切だとしっかり示すことは大切だ」と述べた上で、「教員間の差が大きいとあるが、自治体間の格差も大きい。研修の部分については、教員養成から採用、研修までの一貫した流れの中で、大学とも協働しながら生成AIを教育活動に利活用できる力を付けられるよう充実したシステムをつくることが非常に重要だ」と指摘した。

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