困窮・孤立する若者の3人に1人が借金経験 D×Pが調査

困窮・孤立する若者の3人に1人が借金経験 D×Pが調査
困窮する子ども・若者へのオンライン相談の必要性を話す今井理事長=撮影:藤井孝良
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 経済的に困窮し、孤立状態にある13~25歳の子ども・若者の3人に1人以上が、何かしらの借金をした経験があることがこのほど、孤立する10代に向けてさまざまな支援や居場所の提供を行っている認定NPO法人D×P(ディーピー)の調査で浮かび上がった。D×PによるLINEを使った相談窓口「ユキサキチャット」の利用者に行ったもので、借金の使途は生活費や通信費のほかに、学費や奨学金の返済などもあった。D×Pの今井紀明理事長は衆院選を見据え「オンラインでの困窮相談や若者支援を国に訴えていきたい」と話す。

 調査は、13~25歳の子ども・若者1万4500人以上が登録しているユキサキチャットで呼び掛けた。9月30日~10月7日の間に420人が回答した。その結果、37.1%はお金を借りたことがあり、さらに18歳以上に絞り込むと、借金の経験がある人は半数近くに上ることが明らかとなった。

【グラフ】借りたお金の使い道(複数回答)
【グラフ】借りたお金の使い道(複数回答)

 借金の使い道を複数回答で尋ねると、生活費(77.6%)、通信費(32.7%)、学費(25.0%)、医療費(21.8%)、交際費(18.6%)、ショッピング(16.0%)、奨学金返済(12.2%)、学用品や修学旅行費など学費以外の教育資金(7.7%)など、教育に関する費用にも充てられていた(=グラフ)。

 お金を借りて困ったことに関する自由回答では「借金を返さないとならないプレッシャーとこれ以上借金を借りたら返すのに困るので大学進学が思うようにできなかったこと」「生活ができなくなり、2日間ご飯を食べることすらできなかった」など、学びや生活に深刻な影響が出ていることが伺える。

 10月16日に厚生労働省で記者会見した今井理事長は、衆院選が行われるにあたって「オンラインでの困窮相談や若者支援を国に訴えていきたい。いじめや自死にはオンライン相談があるが、国や自治体による困窮のオンライン相談はない。今の状態は子ども・若者にとって非常に不平等な状態にあると思っている」と指摘。「なかなか窓口にも行けない、窓口に行くのも怖いという声がある。制度を知っていてもたどり着けないという話を何度も聞いてきた。そうした状況をなくすためにも、気軽にまずは相談できる、『助けて』と言いやすい環境をつくる。そういったことをオンライン相談でつくっていきたいし、国にもつくってほしい」と呼び掛けた。

 また、D×Pでは同日から、年末年始に困窮する若者に緊急食糧支援に充てるため、クラウドファンディングを開始した。クラウドファンディングサービス「READYFOR」で、12月20日までに5000万円を目標に寄付を募っている。

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