半数以上が公費負担の拡充望む 高等教育費巡りアンケート

半数以上が公費負担の拡充望む 高等教育費巡りアンケート
iStock.com/recep-bg
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 中央労福協(労働者福祉中央協議会)が10月18日に公表した「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート調査結果」で、半数以上の人が大学などの公費負担の拡充を求めていることが分かった。また、優先的に実現してほしいこととして「大学などの授業料を半額程度にする」を挙げる割合が最も多かった。同団体は「高等教育費は誰が負担すべきなのか、財源問題を含めて議論を進めていくべきだ」とコメントしている。

 調査は、同団体が今年6月、インターネット調査会社の調査モニターを使用して、性別や年代、地域バランスを考慮して3000サンプルを取り出す形でのWEBアンケート方式で実施した。

 その中で大学などの高等教育の公費負担について聞いたところ、「可能な限り公費であるべき」が35.8%で最も多く、「OECD平均まで引き上げるべき」(16.3%)を加えると半数以上が公費負担の拡充を求めていた。「現状のままで構わない」は15.4%で、残りは「わからない」(32.4%)だった。

 また、高等教育関連の負担に関して優先的に実現してほしい項目(3つ以内で選択)を7つの選択肢から選んでもらったところ、「大学などの授業料を半額程度にする」(44.4%)が最も多く、次いで「学費の減免額を拡充」(41.8%)、「給付型奨学金の拡充」(30.7%)、「返済者の負担軽減や救済制度の拡充」(26.1%)、「貸与型奨学金を無利子にする」(26.0%)の順となった。

 大学生以前の子どものいる人に、1人当たりどのくらいの年間授業料が現実的に負担可能と考えているのかを尋ねた質問では、中央値が44万1000円だった。これは現在の国立大学の標準授業料の53万5800円を下回っており、同団体は「今後授業料が上がると教育費を賄えない人が増加の一途をたどることになり、支援策の一層の拡充が求められる」と指摘している。

 一方で、2024年度から始まった高等教育の修学支援新制度の支援対象層拡大について周知度を調べたところ、「内容も含めて知っている」は12.3%、「内容は知らないが聞いたことはある」が36.1%にとどまり、「聞いたこともない・知らない」が51.6%と半数以上を占めた。世帯収入別にみると、支援策の対象条件に当てはまる層の400万円未満で「聞いたこともない・知らない」が61.9%と最も高く、同団体は「まずは新制度の周知度を高め、支援が必要な層に確実に支援を提供することが重要だ」としている。

 今回の調査結果について同団体は「優先的に実現してほしい政策が『大学などの授業料を半額程度に』であることが明らかになったことは調査の一つの成果と考えている。東京大学が2025年度以降の学部入学者の授業料値上げの方針を示している中で、高等教育費はだれが負担すべきなのか、財源問題を含めて議論を進めていくべきだ」とコメントしている。

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