【衆院選】各政党の不登校支援施策は? 民間アンケート

【衆院選】各政党の不登校支援施策は? 民間アンケート
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 10月27日に実施される衆院選を前に、オンラインによる不登校支援に取り組むキズキは同22日、国会に議席を有する政党に行った不登校支援の政策に関するアンケート結果を公表した。不登校の子ども自身への支援では、フリースクールなどの多様な学び、居場所の拡充を挙げる政党が多かった一方で、休養や回復を優先事項に据える政党もあった。保護者への支援では、経済的な負担への軽減や保護者の会を支援することに言及する政党が多く、教職員に対しては、働き方改革によって子どもと向き合う時間を確保していくことや、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)などの専門職の常勤配置などを打ち出す政党もあった。

 アンケートは10月15~21日に、国会に議席を有する自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、日本共産党、国民民主党、れいわ新選組、社会民主党、参政党にメールや問い合わせフォームからアンケートを依頼。参政党を除く8政党が回答した。アンケートでは①不登校の子ども本人に関する現状認識と今後の取り組み②不登校の子どもの保護者に関する現状認識と今後の取り組み③不登校について学校関係者に関する現状認識と今後の取り組み――の3問について尋ねた。

自民党 「みんなが安心して学べる場」にしていく

 自民党は①に、子どもたちが学びにアクセスできるようにすることが必要だとし、学校内に落ち着いた空間で学習・生活できる環境を整備し、オンラインを活用した指導・支援など、「誰一人取り残されない学びの保障」を推進するほか、不登校になる前のSOSを見逃さない取り組みや学校を「みんなが安心して学べる場」にしていくとした。

 ②については、教育委員会の相談窓口を整備し、教育支援センターや保護者の会の支援に関する情報提供をしていくこと、学校、SC、SSW、関係機関が連携して支援にあたり、保護者の不安を和らげるとした。

 ③では、教師が子どもに接する時間を確保するための働き方改革の推進、教師だけに任せず、専門家や関係機関と連携して「チーム学校」で支援を行うのと同時に、人材確保法の初心に立ち返り、教師の処遇を抜本的に改善するとした。

立憲民主党 全ての子どもたちの学ぶ権利の保障

 立憲民主党は、①に関して、少人数学級のさらなる推進、学校現場への専門家の配置、フリースクールへの支援を積極的に行うこと、全ての子どもたちの学ぶ権利の保障のため、多様な学びを尊重し、不登校の子どもやフリースクールなどへの支援を推進していくとした。

 ②では、保護者が悩みを抱え込んだり、孤立してしまったりするケースもあることから、相談できる場所や適切な支援・情報などが得られるような体制整備をしていくとした。

 ③については、教職員・学校関係者の過剰な業務による多忙化で、子どもたちと十分に関われないケースがあるとし、さまざまな状況に置かれている子どもとしっかり向き合う時間を確保するために、教職員定数の充実、給特法の廃止を含めた教職員の処遇改善を進め、長時間労働の是正をしていくとした。

日本維新の会 常勤のSCやオンラインカウンセラーの配置を全国的に促進

 日本維新の会は、①で児童生徒への聞き取りを強化し、常勤のSCやオンラインカウンセラーの配置を全国的に促進することで、いじめ、ヤングケアラー、不登校など多様化する子どもの悩みに対応できる体制を整備・強化するとしたほか、不登校の生徒が通うフリースクールの単位認定を促進し、多様な居場所を提供するとした。

 ②に関しては、子どもが不登校になったことで、離職などによる保護者の収入の減少や食費、教育費などの支出増があるとして、保護者への情報提供体制を整えるために、多様な相談窓口や学びの場、居場所情報を提示することで、孤立化を防ぎ、「ひきこもり期間」の短縮化を図るとした。

 ③では、教員不足と業務負担軽減の取り組みが必要不可欠であるとしたほか、教育課程で同一年齢・同一集団、一斉指導になじまない子どもたちに対応した教育の多様化が重要だとし、専門家と協力して不登校問題に関する学校関係者の支援に努めるとした。

公明党 「みんなが同じ」学校教育から転換

 公明党は、①でこれまでの一斉授業だけによる「みんなが同じ」学校教育から、一人一人の子どもに光を当てて、自分らしく強みを発揮して輝いていく教育に取り組むとし、具体的には、午前中は集団学習形式で必要な学力と社会性を身に付け、午後は個別学習形式で一人一人に合った学びで自己肯定感を育てる教育へと転換していくとした。

 ②の保護者支援では、保護者の会の設置状況が地域によってさまざまであるとし、保護者への支援体制強化の予算を盛り込んだことを強調。保護者の会にSCを定期的に派遣できるようにし、保護者の会の設置を促進するとした。

 ③では子どもたちが安心できる居場所となるスペシャルサポートルームの全小中学校への設置、フリースクールなどの柔軟な学びの場の確保、1人1台端末を活用して、いじめや不登校の相談ができる仕組みの構築、SCによる相談支援、教育と福祉の連携による支援体制の構築などに取り組むとした。

日本共産党 休養・回復の支援が不十分

 日本共産党は①について、不登校の子どもたちには休養・回復や模索への支援が十分保障されていないと指摘。その上で▽子どもの安心して休む権利、自分らしく生きられる権利を大切にする▽学校以外のさまざまな学びの場や居場所を認め、公的支援を行い、学校と同等の支援を目指す――などを挙げた。

 ②では▽学校や地域での自主的な「親の会」を公的に支援▽子どもが不登校の場合の保護者の短時間勤務、休暇・休業制度の創設、経済的支援の強化――を解決策に掲げた。

 ③は、子どもが通いたくなる学校へ、競争と管理の教育の見直しやゆとりある教育のための条件整備を進めるべきだとして、▽子どもの休養・回復を対応の中心に位置付ける▽教職員定数増、SCやSSWを定数化・常駐できるようにする▽学校スタンダード、細かい校則など、子どもを縛るような施策を見直し、学校に子どもの権利条約の精神を根付かせる――などを重視するとした。

国民民主党 小学校低学年から通える「学校型不登校特例校」の設置を推進

 国民民主党は①~③をまとめ、総論として回答した。

 不登校の子どもへの福祉・医療・家庭への経済的支援を省庁間の隔てなく、子ども個々の単位での適切な支援を強化するために、子ども包括支援センターや小学校低学年から通える「学校型不登校特例校」の設置を推進するとした。また、子どもが規則正しい生活を送り、健やかに成長するための「自立支援学校」や、不登校のみならず、障害やヤングケアラー、外国ルーツ、性的マイノリティーなどの全ての子どもが互いを理解し、共に学べるインクルーシブ教育の環境をつくっていくとした。

れいわ新選組 誰も排除しないインクルーシブな学校を本気で

 れいわ新選組は、①には、本人が安心していられる居場所の確保が重要だとし、フリースクールなどの学校以外の学びの場・居場所にアクセスできるよう、行政と民間が協力していく必要があるとした。

 ②については、不登校の要因が家庭や本人にあるという考えが今も根強いとして、保護者が子どもの存在を丸ごと受け止め、一緒に考えていけるよう、不登校の親の会、不登校経験者による支援が必要とした。

 ③では、学校の現状は、子どもの行動や思考方法まで一律に縛る基準が設けられ、うまく適応できない子どもがいじめの対象になり、無視され、学校における居場所を失っているとし、子どもが行けない状態を生み出している学校の現状を変えることなく、フリースクールでの学習を義務教育として公認するだけではその場しのぎだと批判。誰も排除しないインクルーシブな学校に生まれ変わるために学校関係者が本気で取り組まない限り、根本的な解決はないとした。

社会民主党 子ども目線で子どもたちの学ぶ権利を保障するべき

 社民党は、①について、子どもの学校復帰を前提とするのではなく、フリースクールやホームスクーリングなどの多様な学習環境を公的に整備して、子ども目線で子どもたちの学ぶ権利を保障するべきだとした。

 ②では、子どもが不登校になった際に、相談先や支援体制などが分からず孤立している保護者がいることや、フリースクールなどの費用が経済的な負担となっている家庭もあるとして、保護者に対する公的支援の強化が必要だとした。

 ③は、教師やSC、SSW、養護教諭、学校医などが専門性を発揮して連携できる体制強化が必要だとし、関係者が学校で安定して働ける環境をつくるため、人員増加や正規雇用化、賃上げなどの待遇改善をすべきだとした。

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