東京都教育委員会は10月24日、「東京都特別支援教育推進計画(第二期)」の2025年度から27年度までの第三次実施計画の素案を公表した。素案では、社会状況の変化に対応した施策を一層推進し、特別支援教育をさらに充実させていくとしており、発達障害などのある都立高校生を対象としたキャリア支援プログラムの実施や、小中学校において障害のある児童生徒の学習支援などを行う「インクルーシブ教育支援員」を配置することなどが示された。
都教委では、17年に「東京都特別支援教育推進計画(第二期)」を策定し、特別支援教育の推進に取り組んできた。共生社会の実現に向け、障害のある幼児・児童・生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸ばし、社会に参加・貢献できる人間を育成することを基本理念としている。
こうした基本理念の実現に向け、25年から27年度までの第三次実施計画では▽特別支援学校における特別支援教育の充実▽小学校、中学校および都立高校などにおける特別支援教育の充実▽変化・進展する社会に対応した特別支援教育の推進▽特別支援教育を推進する体制の整備・充実━━の4つの方向性に沿って施策を推進していくとしている。
「特別支援学校における特別支援教育の充実」では、知的障害児童生徒の増加の課題に適切に対応するため、教室整備を推進する。また、医療的ケア児への支援も、保護者の付き添い期間の短縮や学校看護師の確保拡充などで充実させる。
「小学校、中学校および都立高校などにおける特別支援教育の充実」では、発達障害などのある児童生徒が在籍学級で安心して過ごせる体制をさらに整えていく。また、新規事業として、発達障害などのある都立高校生を対象に、民間企業と連携し、就労や進学を見据えた学習やインターンシップの実施により、将来希望する進路の実現につなげられるようなキャリア支援プログラムを実施していく。
「変化・進展する社会に対応した特別支援教育の推進」においては、新たに障害のある生徒とない生徒が日常的に共に学ぶことができる環境整備に向け、特別支援学校と都立高校などの協働的な取り組みを実施する。加えて、今年度からは小中学校において障害のある児童生徒の学習支援などを行う「インクルーシブ教育支援員」の配置も進められている。
「特別支援教育を推進する体制の整備・充実」では、特別支援学校と小中学校間で異校種期限付き異動を行っている教員同士が、好事例を共有する連絡会や研修を実施するネットワークを新たに構築する。
素案は、より分かりやすくまとめた「子供版」も作成。11月30日までパブリックコメントを募集しており、都教委の担当者は「子供たちからもたくさんの意見をいただきたい。また、パブリックコメント募集期間中には、特別支援学校で直接、子供たちから意見を聞く予定だ」と話した。