来年4月に行われる2025年度全国学力・学習状況調査の中学校理科で、初めてCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)方式が導入されるのを前に、文部科学省は10月29日、同省のCBT方式「MEXCBT(メクビット)」上にサンプル問題を公開した。同省は来年1月から3月にかけてサンプル問題を活用した事前検証を教育委員会や学校に求めており、「生徒が正しく操作して力を発揮できるよう、準備を進めてほしい」と話している。
来年度の全国学力・学習状況調査は、小学6年生と中学3年生の国語、算数・数学、理科のうち、中学校理科のみCBT方式で行われる。筆記方式の国語、算数・数学、小学校理科は4月17日に一斉に実施され、中学校理科はネットワークの負荷なども考慮して他の教科と離して4月14~16日に実施するか、他の教科とともに17日に実施するか学校側の意向も踏まえて決められる。
中学校理科のサンプル問題は、CBT方式の導入によってどのような端末の操作が必要になるのか不安を示す教員などが多いことから、生徒や教師が端末を使って円滑に移行できるよう作成、公開された。来年1月には特別な配慮を必要とする生徒のため、拡大文字問題やルビ振り問題も公開される。
今回公開されたサンプル問題は9問。この中にはミドリムシの動いている動画やルーペを扱う動画を視聴した上で解答するもの、ドラッグ&ドロップで図を移動して解答するものなど、CBT方式の特徴を生かした問題が含まれている。同省は学力調査で問いたい資質・能力を問うことよりも、4月の本番で使用される可能性のある解答方式に生徒が慣れることを重視して作成したと説明している。
同省は教育委員会や学校に対し、今回のサンプル問題を確認した上で、来年1月から3月にかけて、現在、中学2年生の生徒がMEXCBT上で正しく解答できるか確認するとともに、ネット環境に問題がないか事前検証するよう求めている。同省学力調査室は「動画やアニメーションで変化する事象を見ることで、理科的な物の見方や考え方を働かせることができ、理科の特性に合っていると感じてもらえるのではないか。学校現場には、生徒が力を十分に発揮できるよう環境を整えて準備してほしい」と話している。
学力テストは中学校理科にCBTを導入した後、26年度は中学校英語でCBTを導入し、27年度に中学校、小学校ともに全教科でCBTに全面移行する方針が決まっている。