公立学校の耐震化率99.8%完了 非構造部材対策には遅れも

公立学校の耐震化率99.8%完了 非構造部材対策には遅れも
iStock.com/Verin Makcharoen
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 全国の公立小中高などの耐震化率は今年4月現在で99.8%に上り、昨年を0.1ポイント上回ったことが、文部科学省が10月29日に公表した「公立学校施設の耐震改修状況のフォローアップ調査」の結果で分かった。改修が完了していない施設は247棟となり、同省は設置者に早期の対策完了を求める。一方、天井材や窓ガラスなどの非構造部材の耐震対策実施率は67.8%にとどまっており、同省は地震発生時などに破損の恐れも高まるとして同様に対策を要請することにしている。

 同調査は、全国の公立の幼稚園や小中高、特別支援学校などを対象に毎年実施しており、今年4月1日時点の学校施設の耐震改修状況を調べて公表した。

 校種別に施設の構造体(柱、梁など)の耐震化率を見ると、▽幼稚園 98.5%(未完了38棟)▽小中学校 99.9%(同135棟)▽高校 99.7%(同74棟)▽特別支援学校 100%(同0棟)――となり、特別支援学校で100%に達したのをはじめほとんどの校種で改修が完了していた。

 屋内運動場の吊り天井などの落下防止対策の実施率は、▽幼稚園 100%(未完了0棟)▽小中学校 99.6%(同111棟)▽高校 99.7%(同27棟)▽特別支援学校 99.8%(同2棟)――となり、全体では99.7%で昨年を0.1ポイント上回った。

 一方、屋内運動場の吊り天井以外の天井材や窓ガラス、内装材など非構造部材の耐震対策の実施率は、▽幼稚園 74.0%▽小中学校 68.0%▽高校 61.2%▽特別支援学校 70.7%――となり、全体では67.8%にとどまっている。また、非構造部材の耐震対策実施率は特に高校では地域差が大きく、13都県で100%に達している一方で、6県は一桁台にとどまっていた。

 同省文教施設企画・防災部によると、天井や壁などの非構造部材は部分的に危険箇所などを改修しても1棟全体を改修しないとカウントされないケースなどがあり、実施率が高まらない側面があるとしている。同省担当者は「能登半島地震は児童生徒のいない時期の発生だったが、学校施設で非構造部材の破損が見られた。構造体の耐震対策未実施の設置者に早期の対策完了を要請するとともに、非構造部材の耐震対策についても対応を求めたい」と話している。

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