地域住民や保護者が学校運営に参画する「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」の導入が全国の公立学校で2万校を突破し、全体の約6割に達したことが11月5日、文部科学省が公表した「コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査」の結果で分かった。同省は「小中学校を中心に順調に導入が進んでいる。地域の目が入った学校運営は重要であり、さらに導入を進めていきたい」としている。
調査は全国の都道府県教育委員会や市区町村教委を対象に行われた。対象学校数は3万4334校。調査結果によると、今年5月1日現在、コミュニティ・スクールを導入している全国の公立学校は2万153校で、前年度より2018校増えて初めて2万校を突破した。全体の導入率は58.7%に上り、前年度から6.4ポイント増えた。
校種別の導入率を見ると、小学校が1万2001校で65.6%(前年度より7.0ポイント増)、中学校が5761校で64.4%(同7.1ポイント増)、高校が1281校で37.3%(同4.1ポイント増)だった。小中学校と義務教育学校を合わせると1万7942校で導入率は65.3%(同7.0ポイント増)。また、特別支援学校は569校で50.4%(同4.7ポイント増)となり、初めて50%を超えた。
コミュニティ・スクールは、学校と地域住民、保護者が力を合わせて「地域とともにある学校」を目指す仕組みとして、2004年に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」によって法制化され、17年の法改正で設置が教委の努力義務と位置付けられた。20年5月時点では全国での導入は1万校に満たなかったが、この4年間で2倍以上に増えた。
導入が進んだことについて、同省地域学習推進課の高木秀人課長は「特に先行して設置が進んでいた小中学校では、好事例が横展開されたことで導入が広がったと考えている」と話している。一方でコミュニティ・スクールの導入率は地域差が大きく、鳥取県や仙台市、さいたま市、京都市などで100%に達しているのに対し、10%に満たない県や政令市もある。これについて高木課長は「教職員だけでなく地域の目が入った学校運営は重要であり、まだ設置されていない地域では有用性を理解して促進してほしい」と話している。
同省はエリアごとにコミュニティ・スクール導入について教育委員会や学校に助言するCSマイスターを配置しており、導入が進んでいない自治体に重点的に派遣するなどして、さらに導入の加速化を図ることにしている。