会計検査院は11月6日、2023年度の決算検査報告の中で、公立小中学校などが短時間勤務の教職員を配置するための加配教員定数の算定方法を誤り、3県2市(福島県、三重県、熊本県、広島市、熊本市)で計39人分の定数が過大に算出されていたと指摘した。加配教員に関わる国庫負担金は予算の範囲内で配分しており、適正に算定していれば39人分の定数が他の自治体に割り振られていた可能性がある。過大配分で不適正に支出された国庫負担金は約6386万円に上るが、自治体側に意図的な不正や重大なミスはないとして返還は求めない。一方、文部科学省に対しては、算出方法を適切に周知するよう、是正改善を求めている。
加配教員は、少人数学級、少人数指導など指導方法の工夫改善、いじめ、不登校対応などの児童生徒支援、特別支援教育といった目的に応じて配置され、他の教職員の負担軽減、学校における働き方改革にも活用されている。再任用による短時間勤務教職員、非常勤講師など常勤以外の教職員も配置できる。文科省は都道府県・政令市からの申請、学級数などを考慮し、予算の範囲内で自治体ごと、加配事由ごとに定数を決定して配分する。
会計検査院が21都道府県と政令市9市に交付された20、21年度の国庫負担金約1兆4692億円について会計実地検査を実施した結果、短時間教員を配置した19都道府県7市のうち9県6市で、文科省の規定とは違った方法で加配定数を算出していたと指摘。会計検査院の試算では、このうち3県2市で計39人分の定数が過大に配分されていたという。
例えば、福島県では20、21年度で計2168人の加配定数が配置され、このうち主幹教諭負担軽減加配では計29人と算定しているが、短時間勤務教職員について一律に0.5人として定数を算定するなど、文科省の規定とは違った算定方法が用いられたという。会計検査院の試算では12人が適正な定数で、17人が過大に算定されていたことになる。
会計検査院は「加配教員の定数はほかの自治体にも影響する。加配教員を割り振っていくにはルールにのっとって進められなければならない」と指摘。自治体に対する文科省の説明不足も原因の一つとみており、文科省に対して、具体的な換算方法の記載など加配教員定数の算定方法を各自治体に周知するよう是正改善を求めた。
決算検査報告は官庁や政府出資法人について国の予算の使われ方を調べるもので、23年度は全体で345件、総額約648億6000万円について税金の無駄遣いを指摘し、改善を求めている。