埼玉大学はこのほど、2026年度からの学部などの再編構想を発表した。教育学部は定員を減らし、学生一人一人の指導に力を入れる。小学校・中学校コースを廃止し、小、中学校の両方の教員免許を取得する「教科教育コース」と新たな教育課題に対応するための「学校教育コース」に改組し、教職キャリア科目などを充実させる。一方、「ダイバーシティ環境の社会実装」を掲げ、工学部には女子学生の入学枠を設けたり、教養学部教養学科には心理学やジェンダーについて学ぶ「共生構想専修課程」を設置したりして、それぞれ定員を拡大する。
教育学部は少子化に伴う教員需要の減少を踏まえ、定員を60人減らして320人とし、その分、一人一人の学生への丁寧な指導を通して教育の質を改善させる。既存の小学校・中学校コースを廃止し、小学校と中学校の両方の免許を取得する「教科教育コース」とインクルーシブ教育や不登校などの教育課題に対応する「学校教育コース」に再編。現代的教育課題部門の新設や講座横断教員の設置、コース・専修横断の教職キャリア科目の充実や附属学校園を活用した実践力を身に付けるカリキュラム改革を行う。
埼玉県庁で記者会見した同学教育学部長・大学院教育学研究科長の戸部秀之教授は、教育学部の定数減について「学級数の減少に伴って教員の採用数も減っているので、全国の教員養成学部は適正規模を求められている」と説明。「定員は減らすが、教員になりたいという学生は増やしていきたい」と話した。
同学では22年度にダイバーシティ推進センターを設置し、23年度から全学部の学生を対象にしたダイバーシティ教育を推進してきた。この流れをさらに加速させるため、26年度から教養学部教養学科に、心理学やジェンダーなど現代社会の多様性に関する専門的知識を学ぶ「共生構想専修課程」を設置。大学院人文社会科学研究科(博士前期課程)にダイバーシティ科学専攻も新設する。同学によると、ダイバーシティをうたった大学院の課程は全国で初めて。
また、他大学の工学部と比べても女子学生の割合が低かった工学部について、特に女子学生の割合が低い機械工学・システムデザイン学科、電気電子物理工学科、情報工学科に計20人の女子学生入学枠を設ける。女子学生入学枠は全て学校推薦型入試を予定し、面接などで主体性やコミュニケーション能力などを評価するのと併せて、大学入学共通テストで理数系の基礎学力もみる。