さいたま市の中学3年生約1万人を対象に11月6日に行われる予定だった同市独自の学力検査が、問題が漏えいした可能性があるとして前日に急きょ取りやめられていたことが、8日までに分かった。学力検査を主催する同市中学校長会(小熊誠会長)は、各校の問題の管理方法などを聞いて原因を調べるとともに、今後の対応を検討している。
同市教育委員会によると、この学力検査は同校長会の主催で、今月6日に市内の公立中学校など59校の中学3年生約1万人を対象に実施される予定だった。しかし5日朝、「学力検査の問題を撮影した画像が生徒の間で広がっている」などと書かれた匿名の投書が、市教委に届いたという。
画像も同封されていたため校長会に連絡して確認したところ、実際にテストで出題される問題であることが判明。同校長会で対応を協議した結果、6日の実施を取りやめることになり、5日のうちに各校から保護者に対し、「試験の公正性、公平性に関し、疑義が生ずる可能性が想定される」などとして、テストを延期か中止することになったとする内容のメールを配信したという。
同市教委によると、学力検査の問題は10月下旬に各校に届けられ、それぞれ校長室など鍵のかかる部屋で管理することになっていた。同校長会では、問題が漏えいした可能性があるとして、各校に問題の管理方法などを聞く調査を行って原因を調べている。また、学力検査を中止にするか延期にするか、今後の対応を検討している。
この学力検査は、毎年行われており、今年度は9月、11月、1月の3回が予定されていた。学力検査の結果は、進路指導や進路相談に活用されているという。
小熊会長は取材に対し、「子どもたちや保護者にご心配やご迷惑をかけて申し訳ない。現在、調査を進めている段階なので、その結果を見た上で対応を決めたい。子どもたちが不利益を被ることがないよう、納得のいく進路を選べる環境を整えたい」と話した。