都道府県・政令市のPTA協議会などで構成される「日本PTA全国協議会」(太田敬介会長)の運営に関し不適切な状況が疑われるとして、内閣府が公益法人認定法に基づく行政指導を行ったことを受け、阿部俊子文科相は11月8日の閣議後会見で「不適切と指摘された事実関係を明らかにするとともに、その原因究明、再発防止、適切なガバナンスの構築に向けて努力していただくことを期待している」と述べ、必要に応じて文部科学省でも指導・助言を行う考えを示した。同協議会の会長経験者は中教審委員などに名を連ねているが、「協議会の不適切な運営の疑いをもって、直ちに委員を退いていただくことは考えていない」と話した。
同協議会は税制優遇が認められている公益社団法人で、公益法人認定法に基づいて、おおむね3年に1度、内閣府の機関である公益認定等委員会による検査を受けている。9月に行われた立ち入り検査で、公益認定等委員会は同協議会の運営に関して、経理や文書管理などの実務上の責任や権限がある事務局長、事務次長が不在の状態が複数年続き、内規に反して常勤の事務員1人が担当していたことや、それぞれ別の印鑑にしなければならない会長印、代表理事印、銀行印が同一だったことなど、ガバナンス上の問題を指摘。状況説明や問題の改善について報告を求めていた。
会見で阿部文科相は、同協議会から文科省に報告があったことを明かした上で、「まずは団体において誠実に調査・回答をしていただきたいと考えている。その際に、不適切と指摘された事実関係を明らかにするとともに、その原因究明、再発防止、適切なガバナンスの構築に向けて努力していただくことを期待している。文科省としても必要に応じて指導や助言などの対応をしていきたい」と答えた。
また、同協議会の会長経験者が中教審委員などを務めていることに関しては、「中教審において保護者の意見を表明いただくことの期待を勘案して、任命させていただいた。その上で、当該委員については協議会の不適切な運営の疑いをもって、直ちに委員を退いていただくことは考えていない」と説明した。