「災害時のトイレ」学ぶ 能登半島地震を教訓に小学校で出前授業

「災害時のトイレ」学ぶ 能登半島地震を教訓に小学校で出前授業
日本トイレ研究所の加藤代表(写真前方左)から携帯トイレの使い方を学ぶ児童たち=撮影:山田博史
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 能登半島地震など大災害時にトイレの確保が課題となったことを教訓に、子どもたちに「災害時のトイレ」について学んでもらう出前授業が11月12日、東京都大田区の区立出雲小学校(関眞理子校長、児童550人)で行われた。災害時のトイレ対策の推進などに取り組むNPO法人代表が講師を務め、児童たちはトイレの模型を使って携帯トイレの準備から実際の処理の手順までを学んだ。

 この出前授業は、NPO法人日本トイレ研究所が、トイレweek(11月10~19日)に合わせて実施した。同法人の加藤篤代表は今年1月に発生した能登半島地震で被災した石川県輪島市の避難所をたびたび訪れて、トイレに関する調査や支援活動を続けており、災害時の正しいトイレの使い方を伝えようと同校の5年生3クラスで授業を行った。

 加藤代表ははじめにクイズ形式で、能登半島地震の際、仮設トイレが3日以内に避難所に到着したのは10カ所中1カ所しかなかったことを挙げ、避難所の洋式トイレが使えなくなると感染症が起きやすくなったり、水を飲まなくなることで病気になりやすくなったりする恐れがあることを説明した。

 その上で携帯トイレを使うことで安心して排便できることなどを強調し、2人の児童を前に呼んでトイレの模型を使って携帯トイレの使い方を体験してもらった。2人は慣れないながらも便座への携帯トイレの取り付けから、凝固剤や給水シートを使っての水分の吸収、使用後にポリ袋でくるんで口をしっかり結ぶ作業までをこなしていた。

 加藤代表は「携帯トイレを全員に1個ずつプレゼントするので、ぜひおうちの人に使い方を伝えてください」と話すとともに、携帯トイレに加えて手指消毒剤や照明、トイレットペーパー、ポリ袋も準備して災害に備えてほしいと呼び掛けた。

 授業の後、男子児童の1人は「凝固剤ですぐ水分が固まるのを見て、すごいと思った。災害時にトイレが長く使えなくなると分かったので、家で水を使って練習したい」と話した。また、女子児童の1人は「学んだことを家族や知らない人にも教えていきたい。大きな災害があっても安心してトイレを使えるようにしたい」と話した。

 授業を見守っていた関校長は「私自身が熊本出身で、熊本地震の際に大変だったことを友人から聞いていたので、ぜひ防災に関する取り組みを進めたいと思い、出前授業を行ってもらった。災害時には子どもたちにトイレのことも含めて、主体的に動けるようになってほしい」と語った。

 日本トイレ研究所は、災害時の対応も含めて小中学生などに排せつを通して健康や生活リズムを整えるきっかけにしてほしいとして、トイレweekに合わせて特設サイトを公開している。

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