沖縄県内のフリースクール等の利用費が週5日で月平均4万6000円になることが、『沖縄フリースクール居場所等運営者連絡協議会』の実態調査で11月12日までに分かった。職員の月給は15万円未満との回答が最多で、無報酬の団体もあった。同協議会代表でNPO法人『珊瑚舎スコーレ』職員の西山哲平さんは「費用が高額であるため、利用を諦めざるを得ない当事者がいる。ケアする人を支える制度もない」と話し、利用者・運営団体の双方に向けた公的補助の支援を訴えた。フリースクール等の実態調査は、同県内では初めてとされる。
協議会は9~10月に、フリースクールをはじめオルタナティブスクールや居場所事業の運営者など加盟する25団体にアンケート調査を実施し、21団体から回答を得た。このうち利用費について回答があった4団体の平均月額は、週5日の運営で4万6000円だった。
西山さんは「文部科学省が2015年に行った全国調査では、月平均3万3000円だった。年数がたち物価も上がる中、想定通りの結果」と述べ、「相談先が分からないという当事者は多く、そもそも支援にたどり着くこと自体が難しい。フリースクールが見つかったとしても遠方だったり費用が高額だったりして、諦めざるを得ない保護者がいる」と懸念を話した。
利用費が高額になる背景については、「フリースクール等の運営団体はいずれも小規模。運営費全体の8割を占める人件費のほか、教室などの家賃や教材費、車両の維持費やメンテナンス代などの負担も大きい。これらを全て利用費で賄っている状況」と説明した。
経営状況の厳しさは職員の平均月給にも表れている。回答のあった14団体のうち「15万円未満」が5団体で最多。次いで「15~20万円未満」が4団体、「無報酬」が3団体、「20~25万円未満」が2団体だった。副業で生計を維持する職員もいたという。西山さんは「厳しい実態が可視化された。ケアする人を支える制度がない。貧困を支える人が貧困に陥ってしまう状況がある」と話す。
不登校の急増に伴い、学校に通っていない児童生徒の居場所を支援する動きが加速している。東京都は6月、フリースクールの運営者と利用者向けの補助事業をスタート。運営者に人件費などの経費を支援するとともに、保護者には最大月2万円を支給する。長野県では全国初のフリースクールの公的認証制度を新設、最大で年間200万円の補助金が申請可能だ。
西山さんは「調査結果を通して当事者の声を届けたい。実態調査で分かった結果をもとに市町村や県と交渉し、利用者と事業者の双方への支援を求めていく」と語った。