鳥取県の平井伸治知事は11月13日、文部科学省を訪れ、阿部俊子文科相に教職員給与の改善や教員不足解消に向けた鳥取大学の改革への支援を求める要望書を渡した。要望の後、平井知事は公立学校の教員の給与を巡って、働き方改革を進めることを条件に教職調整額を現行の4%から10%まで段階的に引き上げるなどとする財務省案について、「非常に不安を覚えている」などと述べ、教員が適正な環境で仕事ができるよう国の責任で進めて欲しいと申し入れた。
要望書では、教職員給与等の改善について、給特法の見直しは給与に加えて、国の「教員勤務実態調査」の結果も踏まえて法制的な枠組みを検討するとともに必要な財政措置を講ずることや、教師を取り巻く環境整備に向けて働き方改革のさらなる加速化や教師の処遇改善などを一体的に推進するよう求めている。
また、鳥取大学に教育学部がなくなった後、県内の公立小学校の新規採用者に占める鳥取大学出身者の割合が大きく減って最近は1割以下になり、同県の教員確保に大きな影響を与えているとして、同学の教育学部再興をはじめ抜本的な改革に向けて支援を求めている。さらに学校給食を巡って全国一律の負担軽減の仕組みを作り、具体的な施策を示すとともに必要な財源措置を行うよう要望している。
平井知事は面会を終えた後、報道関係者の取材に応じ、公立学校の教員の給与を巡って財務省が示した案について、「非常に不安を覚えている」と述べた。その理由について、「例えば働き方改革は必要だが、超過勤務に上限を設定されることなどで、ツケが地方に回ってくることはないか、そうなると学校運営に支障が出ないかという懸念がある」などと話し、教員が適正な環境で仕事ができるよう国の責任で進めて欲しいと申し入れたことを明らかにした。これに対して阿部文科相などからは、処遇改善は必要だが現場に負担がかかる形ですべきでなく、責任ある対応を考えなければならないという趣旨の話があったという。