東京都教育委員会は11月14日、第17回定例会を開き、2025年度の予算要求(見積)について報告した。教員の働き方改革の新規事業として、公立小中学校で学校・教員以外でも担うことが可能な業務について段階的に外部委託を推進していくことや、外部コンサルタントを活用し、各学校の状況に応じた業務改革を支援していくことなどを盛り込んでいる。
来年度の教育庁所管事業予算見積は9978億6900万円で、前年度当初予算額より115億4400万円減少した。要求額のうち、給与関係費は7538億4500万円(前年度比99億800万減)、事業費は2440億2400万円(同16億3600万円減)を占める。
予算が減少したことについて、都教委の担当者は「定年延長に伴う教職員の退職手当にかかる予算が減る年に当たることや、都立学校の増改築の工事の着工や竣工の少ない年となっているため」と説明した。
予算要求によると、来年度は▽学校現場のBPX(ビジネス・プロセス・トランスフォーメーション)による「働き方改革」の抜本的な推進▽新しいステージにおける教育の展開▽多様化する児童・生徒への対応のブラッシュアップ━━の3つの柱により、新規・拡充事業を実施する。
「学校現場のBPXによる『働き方改革』の抜本的な推進」では、▽公立小中学校にて学校・教員以外でも担うことが可能な業務について段階的に外部委託を推進▽外部コンサルタントを活用して各学校の状況に応じ業務改革を支援▽都立学校の在校等時間を閲覧できるシステムを構築してタイムマネジメントを意識した働き方を促進する━━など、教員の働き方改革の新規事業に8億9900万円を要求した。
また、都立学校の教員がメール・チャットなどのアプリケーションを有効活用できるよう、段階的にスマートフォンを貸与することなど、校務のデジタル化に関わる新規事業に3億7000万円を要求している。
その他、多忙な副校長の支援員やスクール・サポート・スタッフ、エデュケーション・アシスタントの配置や、都立および公立中学校における部活動指導員の配置を拡大していくなどの外部人材の活用に、186億7300万円を盛り込んだ。
「新しいステージにおける教育の展開」では、都立学校向け生成AIの活用をさらに推進することや、小・中・高・特別支援学校の児童生徒向けにAIリテラシー育成教材を作成するなど、デジタルを活用した学びに13億8900万円を要求。国内外の研究機関やスタートアップ企業などとの連携により、探究学習プログラムを実施し、探究活動の成果を発表し合うフォーラムを開催するなど、都立高校の魅力向上・発信に42億8200万円を要求している。
「多様化する児童・生徒への対応のブラッシュアップ」では、近接する特別支援学校と都立高校で共同活動を実施する取り組みを進めるなど、インクルーシブな教育環境の整備に19億1600万円を盛り込んだ。また、中学校におけるチャレンジクラス(不登校対応校内分教室)の設置の拡大や、学校を巡回して不登校対応に関する支援を行う教員の配置を拡大するなど、不登校への支援充実に9億8600万円を要求している。
今後は知事の査定などを経て、来年1月に予算案を発表するとしている。