ネクストGIGA 教育長交え教員ら討議、鎌倉

ネクストGIGA 教育長交え教員ら討議、鎌倉
ICT関連機材を紹介する企業のコーナー =撮影:水野拓昌
【協賛企画】
広 告

 神奈川県鎌倉市の市立西鎌倉小学校で11月13日、GIGAスクール構想の次の段階「ネクストGIGA」を見据え、関連企業のサービスなどを紹介する展示イベント「GIGAフェス2024」が開かれ、市内公立小中学校の教員約50人が参加した。また、イベント後半では同市の高橋洋平教育長を交え、GIGAスクール構想の現状や今後についてディスカッションが行われた。

 鎌倉市内の公立小中学校の教員で組織する市学校教育研究会視聴覚部会が計画、昨年から開催しているイベントで、今回が2回目。出展企業は同部会で独自に交渉したという。同部会相談役で会場となった西鎌倉小の上太一校長は「最先端技術、教育を支えるサービスを知り、教室の外に目を向けて新しい学びのヒントにしてほしい。また、企業の人と交流することで、教員たちに社会性を磨いてほしいという側面もある」と開催の狙いを説明する。

 コニカミノルタ(東京都千代田区)やベネッセコーポレーション(岡山市)など、10社が出展。体育館に各社の紹介コーナーが設けられ、参加者が自由に見て回り、担当者に質問した。AIドリルなどの学習支援ソフト、フィルターで制御して年齢制限のない生成AIチャットサービス、プログラミング学習教材、3Dプリンターといった製品、サービスが並び、キーボード、タッチペンなどのパソコン周りの機材関係を紹介する企業もあった。

 同校の坂本拓生教諭は「これまでは課題を先にできた児童のために何種類もプリントを用意していたが、いまやAIドリルを使って、進度に合わせて児童が学習することも当たり前になってきた。採点も自動で、教員は結果を見て児童の苦手分野を把握できるなど働き方改革にも強力なツール。今回はいろいろなサービスを対比でき、ユーザーとしての意見も出しやすいので、とてもいい機会だった」と歓迎した。

 イベント後半では、「Next GIGAのカタチ 学びはどう変わり、どう変わってゆくの?」をテーマに掲げ、高橋教育長がファシリテーターとして参加者同士のグループ討議を進行した。上校長やゲストとして来場した文部科学省初等中等教育局情報教育振興室の川口貴大室長補佐も参加。オンライン参加の熊本大学の前田康裕特任教授を含め、ゲストがコメントしながら、グループ討議を進めた。

GIGAスクールの今後について参加者(右の2人)と討議する、文科省情報教育振興室の川口室長補佐(左)と高橋教育長 =撮影:水野拓昌
GIGAスクールの今後について参加者(右の2人)と討議する、文科省情報教育振興室の川口室長補佐(左)と高橋教育長 =撮影:水野拓昌

 ネクストGIGAについて、川口室長補佐は「討議の中で、学習指導要領がGIGA環境の現状に適用していないという意見もいただいた。次期指導要領に向けては、有識者会議でも情報活用能力の重要性を指摘されている。皆さんの試行錯誤していることは将来につながっている」とコメント。前田特任教授は「大事になるのは教員研修、授業改善プロジェクト。これからの教師の役割はカリキュラムの内容を教える人から実践者へと変わる」と強調した。

 高橋教育長は財政面で苦心している状況を吐露しながら、今後もGIGA環境をより良い状態で保っていく意気込みを示し、「GIGAによる働き方改革の面では校務の削減につながり、先生が価値ある仕事に向かうようになればと思う。学習者中心の学びが本質。その上でGIGAは強いツールになる。いろいろなトラブルがあるかもしれないが、教育委員会として責任を負っていきたいので、皆さんの力で鎌倉市の教育を前に進めましょう」と教員らにエールを送った。

広 告
広 告