東京都教育委員会は11月14日に開催した第17回定例会で、付属機関である東京都教委いじめ問題対策委員会(第6期)への諮問事項を決定した。7月の同委員会の答申を受け、いじめ防止に係る取り組みの推進状況の検証、評価、対策の推進を議論する。委員からは「透明性を持って対応していくことが重要だ」といった意見が出された。
東京都が10月31日に公表した「23年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、23年度のいじめ認知件数は6万9752件(前年度比3438件増)と過去最多だった。重大事態と判断された件数は、前年度の48件から2倍以上の107件に上った。また、いじめを認知した学校数の割合は87.8%と、前年度から3.0ポイント増加した。
東京都教委いじめ問題対策委員会(第5期)は今年7月の答申で、子どもたち自身がいじめについて考え行動できるようにするための取り組みや、教職員が軽微ないじめも積極的に認知することができるような取り組み、専門家の力を活用したいじめ防止対策の推進の実績を評価した。
一方で、学校いじめ対策委員会を実効性のある組織にするとともに、重大事態やその疑いがあった時の対応、教育委員会との連携などを見直すこと、教員の保護者対応のスキルの向上、各校における事例研究といった効果的な研修内容を検討することなどについて、今後さらに改善を図っていくことの必要性が示されていた。
こうした検証・評価をもとに、都教委が取り組むべき事項として▽発達支持的生徒指導の趣旨にのっとった、いじめ防止等の取り組みの推進▽発達の段階に応じたいじめ防止等の具体的取り組みに係る検討および共有▽教職員の意識啓発および対応力等の向上▽子ども自身がいじめ問題の理解を深め、自ら考えて行動できるようにするための取り組みの充実━━など、6点が挙げられている。
委員からは「学校現場の教員の意識も随分変わってきた。いじめの兆候が見えたときにできるだけ早くに対応すること、情報を明らかにするなど、透明性を高めて教員らが対応していくことが、より求められていく」「さまざまな多様なケースに対して、担任の教員だけでなく、学校全体でチームとして対応できるような取り組みが出来ているかについても、しっかりと検証してほしい」などの意見が出た。