若い世代に留学への挑戦を促そうと、文部科学省は11月18日、留学を考えている子ども・若者やその保護者らを対象にした「Global×Innovation人材育成フォーラム『世界を舞台に!留学全力応援イベント」を都内で開いた。高校生のときに米国ミズーリ州に留学したことのある俳優の山崎育三郎さんや、官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を活用して留学した高校生らが登壇し、留学だからこそ得られた経験を語った。
教育の国際化を目指し、今年4月に公表された政府の教育未来創造会議第二次提言では、外国人留学生の受け入れとともに、日本人留学生を2033年までに50万人に増やす目標を掲げている。
これを受けて文科省では今年度、留学気運の醸成に向けて、関係者が意見交換する「Global×Innovation人材育成フォーラム」を立ち上げ、10月に出した中間まとめでは、中学校・高校段階から留学や海外研修、交流などの多様な国際経験の機会に誰もがアクセスできるようにすることや、できる限り多くの学生・生徒が留学に挑戦できるように、給付型奨学金の充実をはじめとする経済的な支援をしていくこと、留年や休学をすることなく留学できる環境を実現することなどを提言している。
その一環で、留学気運の醸成に向けて開催されたこの日のイベントでは、山崎さんが「一日留学応援団長」として登場。留学経験のある兄に勧められて、17歳のころに米国ミズーリ州の高校に留学したエピソードを紹介した。
留学先の学校ではアジア人は山崎さん一人だけで、最初の3カ月ほどは英語のコミュニケーションに苦戦し、友達もできなかったという。しかし、「自分が変わらないと何も変わらない」と、勇気を出して参加したダンスパーティーで、ミュージカルの経験を生かしてダンスを披露したところ会場は大盛り上がりとなり、それがきっかけで周囲から受け入れられたそうだ。
山崎さんは留学を考えている生徒や学生に向けて、「自分がちょっと怖い、不安だと感じているところにしか、大きなものはない。海外で英語を学ぶといったこと以上に、自分で物事を考えて、自分で決意して、自分で動くということを学生のうちにたくさん経験してほしい。いま不安に思っているのだとすれば、それこそチャンスだと思って一歩を踏み出してほしい」とエールを送った。
また、日本の観光業との比較をしたいと、「トビタテ!留学JAPAN」を使ってマルタに留学した東京都立青山高校3年の島村仁さんは、留学で国や世代を超えた人との出会いがあったと振り返り、「僕はいま高校3年生で、受験生で進路を決める時期だが、自分の中で深く知っていることがあると進路を決めるのにも非常に役立つし、決断する足掛かりになるのではないか。迷ったら短期でもいいから留学に行ってみて」と背中を押した。