「給食、国の責任で無償化を」自治体格差に危機感 2市長会が提言

「給食、国の責任で無償化を」自治体格差に危機感 2市長会が提言
2市長会の共同提言として、金城政務官(中央)に提言書を手渡す久元市長(左から2人目)=撮影:水野拓昌
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 全国の政令市20市による指定都市市長会と、中核市62市で構成される中核市市長会の代表者らが11月19日、文部科学省を訪れ、共同提言として、学校給食無償化の制度創設やGIGAスクール構想に関わる継続的な財政支援を求めて、金城泰邦文科大臣政務官に共同提言書を手渡した。提言書では、他に中学校での35人学級の早期実現や、部活動改革への財政支援などを国に求めている。

 この日、文科省での要請活動を行ったのは、指定都市市長会長の久元喜造神戸市長、同市長会中核市連携担当の中原八一新潟市長の代理・野島晶子副市長、中核市市長会長の木幡浩福島市長、副会長の長内繁樹大阪府豊中市長の4氏。

 2市長会の共同提言の中で今年度の重点提言の一つに、こども・子育て政策の充実を掲げ、10項目を提言している。金城政務官への要請活動では、小中学校や幼児教育・保育施設などの給食について、食材費高騰に加え、独自の助成制度を展開する自治体が増え、自治体間で利用者の負担の格差が生じている現状を指摘し、国の責任で給食費無償化などの恒久的制度を創設するよう財政措置を求めた。

 また、GIGAスクール構想については、学習用端末の通信費、更新費用、充電保管庫の設置費、学習者用デジタル教科書、学習アプリの費用、セキュリティ対策費、授業目的公衆送信補償金などを小学校から高校まで全額国庫補助とするよう、財政支援を求めている。

 提言書は他に、35人学級について、小学校では段階的に学級編制の標準が引き下げられることになっているが、中学校でも早期決定を要望するとともに、働き方改革のため教科担任制などの加配を充実させることを要請。また、部活動改革については、部活動指導員の報酬や地域クラブ制度を運用するための運用管理費、施設使用料などの負担が自治体の財政を圧迫する可能性があることから補助制度を創設するなどの財政措置を求めている。

 提言書提出後、久元神戸市長は「何でも無償化がよいとは思っていない。ただ、給食費無償化に限らず、子ども医療費など各自治体が独自に対応しているが、給付、負担軽減の競争では財政力が強い東京都の自治体などが高い水準となり、東京一極集中を加速することになる。強い問題意識を持っている」と述べた。

 金城政務官に提言内容を説明した長内豊中市長は「給食費無償化について金城政務官には、国民生活にとってのナショナルミニマムとして一緒に考えていくと、理解していただいた。さらに要望活動を深めたいと考えている」と手応えを示した。

 2市長会の共同提言はこども・子育て政策のほか、デジタル・トランスフォーメーションの実現に向けた取り組みの推進も重点提言に掲げており、4氏は金城政務官のほか、こども家庭庁で三原じゅん子こども政策担当相、デジタル庁で平将明デジタル担当相にも要請活動を行った。

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