教職員の長時間労働の解消に向けて、全日本教職員組合(全教)は11月21日、文部科学省で記者会見し、今月27日に全国で一斉に勤務時間終了の定時で退勤を呼び掛ける「全国一斉定時アクション」を行うと発表した。会見した檀原毅也書記長は「教職調整額の増額に向けて文科省案と財務省案が出されているが、どちらも全く不十分で、長時間労働は解消できない。教職員の基礎定数改善や教育予算増に向けて、全国の学校現場で一斉に声を上げたい」と強調した。
教員の処遇改善に向けては、文科省が教職調整額を現行の4%から13%に増額するよう来年度予算に向けて概算要求しているのに対し、財務省は働き方改革を条件に4%から10%まで段階的に引き上げ、10%に達した段階で残業代を支給する仕組みへの移行を検討する案を示している。
檀原書記長は文科省案について、「教職員の基礎定数増に後ろ向きであることや、長時間労働の抑制効果がない教職調整額の増額を打ち出すなど、これでは一層の長時間労働を助長する恐れがある」と指摘。勤務時間内で業務が終わるよう定員を増やし、実際に生じた時間外労働には残業代を払う仕組みをつくることなどが必要だと強調した。
また、財務省案についても重大な問題を抱えていると指摘し、「不登校やいじめの増加など、多くの困難を抱える子どもに向き合っている現場の実態を踏まえていない上、教職員の定数改善なしに業務の縮減を迫っている。支援策なしに長時間労働縮減と引き換えに処遇改善をするとは理解できない」と批判した。
その上で檀原書記長は「文科省案、財務省案とも不十分であり、長時間労働は解消できないと考えている。私たちの願いは一人一人の子どもに向き合い、行き届いた教育をしたいということであり、教職員の定数改善や教育予算増などに向けて全国の現場で声を上げていきたい」と述べ、長時間労働の解消に向けて学校現場からアピールしたいと強調した。
「全国一斉定時アクション」は、今月27日に全国の学校で勤務時間終了後の定時退勤を呼び掛ける内容で、各職場の状況に応じて職場集会などを開くとともに、メッセージボードに書き込んだ「私の願い」をSNSで発信するなどして、社会にも広く訴えていくことにしている。