「学校だけでいじめ防止は無理」 学校外からの支援強化、三原担当相

「学校だけでいじめ防止は無理」 学校外からの支援強化、三原担当相
意見交換会であいさつする三原担当相=撮影:松井聡美
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 文部科学省から公表された2023年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果で、いじめの認知件数、いじめの重大事態の発生件数がいずれも過去最多になったことを受け、三原じゅん子こども政策担当相は11月21日、いじめ防止対策に関し、自治体関係者や専門家などと意見交換会を行った。

 三原担当相は冒頭「いじめをなくすためには、省庁だけでなく、いじめ防止の最前線で取り組んでいる自治体の皆さまや、いじめ問題に関わる専門家の皆さまと意見交換をしながら、先進的な現場での取り組みを全国に広げていく必要がある。いじめ防止対策は、学校だけに任せず、福祉や警察、専門家の力も結集し、地域全体で進めていかなければならない」と述べた。

 同会合では、大阪府八尾市と熊本市の市長部局が中心となったいじめ防止などの取り組みが報告された。八尾市では20年に市長直轄組織である「いじめからこどもを守る課」を設置。今年4月からは「こども家庭センター」を設置し、首長部局における学校外からのアプローチによるいじめ解消の組織体制をとっている。

 また、初期にはいじめ相談専用ダイヤルや手紙による相談を実施していたが、こどもからの相談が少なかったことから、23年度に全国で初めて市長部局にいじめ報告相談アプリを導入。現在は市内全小中学校にアプリが導入され、相談件数は大幅に伸びている。

 熊本市では、こどもの権利侵害に関するあらゆる相談通報を受ける「こどもの権利サポートセンター」を設置。加えて、こどもホットラインによる相談支援や、24時間365日チャット相談事業、こども食堂と連携したこどもを見守る体制の構築などにより、こどもが相談しやすい場と、しにくい場が見えてきたことなどが報告された。

 こども家庭庁の担当者は「両方の自治体から共通して出てきたのは、首長のリーダーシップが重要だということ。また、小学校低学年のいじめ認知件数が増えていることについて、専門家からは小学校に入る前の幼児期から、早期のいじめ予防の対策が必要ではないかとの意見が上がっていた」と説明した。

 三原担当相はこうした報告や意見交換を受け、いじめ防止対策を学校だけで対応するのは今の教員の多忙さから考えても難しく、学校外からのアプローチをより強化していけるよう、自身がリーダーシップをとって進めていく意欲を示した。

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