公立学校の教員の給与の在り方を巡り、全国都道府県教育長協議会・全国都道府県教育委員協議会は11月22日、国に対して来年度文教予算に関する緊急要望を行った。財政制度等審議会財政制度等分科会で財務省が示した、働き方改革の進捗(しんちょく)に応じて段階的に教職調整額を引き上げるなどの提案は、協議会が求めてきた内容とは「大きく方向性が異なる」とし、「地方教育行政の観点からも実現性に乏しい提案であり、本協議会として看過することはできない」と指摘した。
文部科学省は来年度予算案で、教員の処遇改善に向けて、給特法で定められている教職調整額を現行の4%から13%に引き上げることや、教職員の定数改善を要求している。これに対し財務省は11月11日の財政制度等分科会で、働き方改革を進め、公立学校の教員の平均時間外在校等時間がその年の目標を下回れば、次年度の教職調整額を1%ずつ引き上げ、10%に達した段階で、所定外の勤務時間に見合う手当(残業代)を支払う仕組みへ移行することを検討するなどを提案した。
緊急要望はこの財務省の提案を批判。教職員定数の改善など学校現場への支援を行わず、時間外在校等時間の縮減を教職調整額の引き上げの条件とすることや、教職調整額を廃止して残業代を支払う仕組みに移行すること、その際に、国庫負担額の上限を設けることなどは、「学校現場や教師への敬意と配慮を欠くとともに、地方教育行政の観点からも実現性に乏しい提案であり、本協議会として看過することはできない」と強調した。
その上で▽学校を取り巻く環境が複雑化・困難化する中で働き方改革を推進していくには業務の改善だけでなく教職員定数などの充実が不可欠であること▽教職調整額の引き上げは次期通常国会で給特法を改正し、2025年度から確実に実施することとし、その際に給与改善の条件として勤務時間の縮減を設定することは不適当であり、断じて行わないこと▽教師の職務の特殊性などを踏まえ、教師の自律性・裁量制を確保する観点から、時間外勤務手当化はすべきではないこと▽施策の具体的な実現にあたっては、地方に財政負担が生じないよう、国の責任と負担により確実な財政措置を行うこと――を要望した。