「こどもの悩み受け止める」プロジェクトチーム発足 こども家庭庁

「こどもの悩み受け止める」プロジェクトチーム発足 こども家庭庁
意見交換するプロジェクトチームのメンバーと三原担当相=撮影:水野拓昌
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 深刻化するいじめ問題や不登校児童生徒の増加を背景に、子どもが悩みや不安を打ち明けやすい環境整備に向けて、こども家庭庁は11月26日、職員31人で構成する「こどもの悩みを受け止める場に関するプロジェクトチーム」を発足した。同庁での発足式で三原じゅん子こども政策担当相は「子どもの悩みはいじめや不登校、児童虐待に限らない。内容がどのようなことであれ、子どもにとってつらい思い、助けを必要とすることには全力で応えてあげたい」と訴えた。

 プロジェクトチーム発足式で三原担当相は「皆さん、耳を澄ましてください。聞こえていますか。学校で友達と遊びたい、どうしていじめられるの? 生きるのがつらい…。いじめや不登校、児童虐待の一つ一つにはこうした子どもたちが一人で悩み、苦しんでいる声、声にならない心の叫びがある。悩みを抱えた子どもに寄り添うサポートは実現できているか。躊躇(ちゅうちょ)なく悩みを打ち明ける環境ができているか。私の問題意識はここにある」と呼び掛けた。職員への訓示の後、プロジェクトチーム職員9人とテーブルを囲んで意見交換した。

 プロジェクトチームは若手職員や民間企業、自治体からの出向者を含めた現場経験のある職員を中心に31人で構成される。入庁1年目の丹羽俊輔さんは学生時代、ひとり親家庭などの子どもたちの学習を支援するボランティアを経験。「子どもたちの悩みを解決するため、どんなことが必要か、自分の経験を生かし、チーム内や現場との意見交換も通じて有意義な政策につなげていきたい」と意気込みを示した。

 プロジェクトチームは、子どもが利用できる官民の相談窓口の実態に関する把握・整理や、子どもの悩みを受け止める活動の効果的な広報手段の検討を主な目的とし、現場や子どもたちとの意見交換も進めていく方針。

 主な活動として、①子ども・若者や地方自治体、相談事業者、支援団体などとの積極的な意見交換やネットワークの強化②子どもの悩みを受け止める場の実態や子どもの相談に関して留意すべき点の把握・整理③子どもの悩みを受け止める場や相談しやすくする活動の広報④悩みを抱える子どもたちが躊躇なく打ち明けることができる環境づくりのための活動――に取り組むという。

 三原担当相は就任当初から記者会見や職員へのあいさつで「子どもの悩みに関する相談窓口やウェブサイトは数多くあるが、子どもの立場に立ったとき、適切にたどり着くことができるだろうか」と述べ、広報体制などに問題意識を示していた。

 文部科学省が10月に発表した2023年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(問題行動調査)によると、小中学校、高校、特別支援学校でのいじめ認知件数は73万2568件で過去最多を更新。また、不登校児童生徒は小中学校で34万6482人、高校で6万8770人と、いずれも過去最多だった。

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