山梨県の長崎幸太郎知事は11月26日、県が独自に取り組んでいる小学4年生までの25人学級について、全学年で実施すると発表した。来年度には5年生、再来年度には6年生に順次拡大する。小学5年生に拡大すると、新たに約40人の教員と約3億円の費用が必要となる見込みで、県は来年2月の県議会で関連する予算案を提出する方針だ。
同県は2021年度から小学1年生で25人学級をスタートし、今年度は小学4年生までが25人学級となっている。25人学級の効果を検証した検討委員会の報告書を踏まえ、県は25人学級を継続・拡大し、26年度には全学年に広げることを決めた。
この財源は、県が教育環境の充実などを目的に積み立てている「やまなし教育環境・介護基盤整備基金」による収入と、電気事業会計からの繰入金を増やすことで捻出する。県教委によると、来年度に25人学級を小学5年生まで拡大した場合、新たに約40人の教員が必要になり、追加で約3億円が必要になると見込んでいる。
25人学級の拡大に必要な教員の確保については、検討委員会の報告書を踏まえ、教員が不足する状況が続く当面の間は、制度として25人学級を維持しつつ、26~30人程度の学級編制をするなどして対応。一時的に教室が不足する場合は、ティーム・ティーチングなどのきめ細かな指導のために県で実施している「アクティブクラス」の教員の加配措置を柔軟に活用し、本来であれば学級・教室を分けるところを一つにして、教員が複数体制で指導できるようにするなどの方法を検討している。
記者会見に臨んだ長崎知事は「全国に先駆けて本県で実施している25人学級は、他県に誇れる山梨の魅力ある政策と言える。これまでにこの25人学級は4年生まで拡大してきたが、学校現場や保護者からは『導入により、子どもたち一人一人にきめ細やかな指導が可能となっている』『先生の負担軽減につながっている』という声をうかがっている。まさに25人学級の良さを感じていると言えようかと思う」と、25人学級の成果を強調。「最も重要な山梨の未来のつくり手となる子どもたちに対して、その可能性をしっかりと引き出していける教育環境をつくっていきたい」と力説した。