虫歯は過去最少も、視力低下は高止まり 23年度学校保健統計

虫歯は過去最少も、視力低下は高止まり 23年度学校保健統計
iStock.com/Bogdan Malizkiy
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 文部科学省は11月27日、幼稚園児から高校生までを対象に発育や健康状態について調査を行う「学校保健統計」の、2023年度調査結果を公表した。虫歯のある子どもの割合は全学校種で過去最少になった。一方、裸眼視力1.0未満の子どもの割合は小学校で約4割、中学校で同6割、高校では7割近くに達し、いずれも高止まりの状態だった。文科省の担当者は専門家による意見として「勉強や読書、タブレット端末など電子機器の利用により近くを見る作業が増加し、児童生徒を取り巻く環境が変化していることが要因として考えられる」と述べ、ICT教育が推進される中、子どもの目を守るため一層の予防啓発に取り組む考えを示している。

 調査は全国の幼稚園・小中高校に通う満5歳~17歳の幼児・児童・生徒を対象に、健康診断結果を一部抽出して集計したもの。1948年度から毎年実施していたが、20年度以降は新型コロナウイルスの影響により健診を通年で実施したことから、文科省は「過去の数値との比較は困難」としている。

 調査結果によれば、虫歯のある子どもの割合は小学校で34.81%、高校で36.38%と4割以下、さらに幼稚園では22.55%、中学校は27.95%と3割を下回った。いずれも過去最低値を記録した要因について、文科省の担当者は専門家による意見として「学校歯科医による給食後の歯磨き指導をはじめ、各家庭で歯の健康に対する意識が高くなっていることや、8020運動などのヘルスプロモーションの効果が考えられる」と分析した。

 一方、裸眼視力1.0未満の子どもの割合は小学校で37.79%、中学校で60.93%、高校で67.80%と、学年が上がるにつれ増加しており、7月31に公表された「児童生徒の近視実態調査」と同様の傾向が見られた。文科省は啓発資料を作成、「屋外で過ごす時間を増やす」「長時間、近くを見る作業を続けない」などの対策を呼び掛け、情報発信に努めると強調した。

 このほか身長・体重については、全学校種で横ばいの傾向。肥満度が20%を超える「肥満傾向児」の割合は男女ともに9~12歳で高く、最高は中1男子(12歳)の13.50%。やせ過ぎの傾向を示す「痩身傾向児」については、男子は高1(15歳)が4.21%、女子は中1(12歳)が4.25%で最も高かった。また、鼻・副鼻腔疾患を持つ子どもの割合は、小学校、中学校で1割程度だった。

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