学校の働き方改革が課題となる中、全国の学校事務職員らでつくる全国学校事務労働組合連絡会議(吉田泰議長)は11月29日、学校現場で教員から事務職員への業務転嫁が進められて負担が増加し、精神疾患による休職者の増加などで深刻な状況にあるとして、教員から学校事務職員への業務転嫁に反対するとともに、学校事務職員の欠員解消や定数増などを求める要請書を文部科学省などに提出した。
同会議は同日、文科省と財務省、総務省に要請書を提出した。同会議によると、文科省が2020年に「学校・教師が担うべき業務範囲」の周知などを目的に発した通知以降、学校での事務職員への業務転嫁が加速して負担が増しており、多くの事務職員が過酷な業務量に追われていると指摘している。事務職員の精神疾患による休職者の割合は22年度の調査で1.03%と教員を上回り、事態の悪化が懸念される上、全国に配置されている事務職員は定数を割り込む「欠員不補充」の状態が長年にわたって続いており、解消を求める声が高まっていると強調している。
こうした中、教員の処遇改善に向けて教職調整額の大幅な引き上げが議論されていることについて、「教員の長時間労働を制度的に支える給特法の強化にほかならず、学校業務と長時間労働の一層の拡大を招きかねない」と懸念を示している。
そうした状況を踏まえて、要請書では、教員から学校事務職員への業務転嫁に反対するとともに、教職員定数の改善や学校の業務そのものの縮減など、抜本的な施策を要請。また、義務標準法の定める学校事務職員定数を順守して欠員を生じさせないことに加えて、配置基準の改善や定数増を求めている。さらに学校現場の労働環境が過酷になる中で雇用が不安定な有期雇用職員が増えているとして、労働条件の改善や無期雇用への転換に向けた積極的な施策も求めた。