中学校の部活動の地域移行が全国的に進む中で、独自の方向性を模索していた熊本市は11月28日、地域と連携して、中学校の部活動を継続する方針を打ち出した。同日に開かれた市教育委員会の定例会で素案が示された。指導者には報酬を支払い、部活動の指導を希望する教職員には、兼職兼業の許可を出す。拠点校方式やさまざまなスポーツに親しめる「チャレンジクラブ(仮称)」を創設するなどして、少子化が進む中で部活動の数を絞りつつ、多様な選択肢を維持する。
熊本市では、国による部活動の地域移行の推進を受けて、外部有識者で構成される部活動改革検討委員会を設置。今年3月には、部活動の教育的意義や地域の受け皿確保の見通しが立たないことなどを理由に、指導を希望する教職員や地域人材によって学校部活動を今後も継続する考えを市教委に答申した。
しかし、少子化の影響で現状の部活動数を維持することは困難であるため、複数の学校の生徒が集まって活動する拠点校方式を推進し、現在は569ある部活動を400程度にする。指導者は1600人を確保し、1部活動当たり4人の指導者が関わり、常時2人以上の複数体制で指導に当たれるようにする。
また、生徒や保護者の多様なニーズに応えるため、平日1~2日、各1~2時間程度、学校のグラウンドや体育館でさまざまなスポーツやダンスに親しんだり、楽しんだりすることを目的とした「チャレンジクラブ(仮称)」を創設する。
教職員の負担軽減のため、部活動の指導は、希望する教職員が兼職兼業の許可を得た上で行うか、地域の指導者が行うようにする。指導者確保のための人材バンクを設置し、指導に当たった場合は、顧問であれば1時間1600円、副顧問であれば1時間1000円の報酬を支払う。
市教委によると、教職員が兼職兼業で指導する場合も人材バンクに登録し、指導に応じて報酬を受け取ることになる。必ずしも勤務校の部活動を指導するとは限らず、例えば自宅近くの学校などで指導することも考えられるという。
この新しい方式の部活動を運営していくには、約6億5000万円が必要とされており、月3000円程度の受益者負担も発生すると試算している。
市教委では今後、保護者への周知や関係団体・企業への協力・支援依頼、人材バンクの設置などを進め、2027年度から新しい仕組みでの学校部活動への移行を目指す。