不登校児童生徒の保護者を支援 文科省、200自治体で体制強化へ

不登校児童生徒の保護者を支援 文科省、200自治体で体制強化へ
iStock.com/fizkes
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 小中学校で不登校の児童生徒数が過去最多となる中、子どもの不登校に悩む保護者への相談支援体制を強化しようと、文部科学省は全国200自治体を対象に、相談窓口の強化や保護者への情報提供といった取り組みへのサポートに乗り出すことを決めた。各自治体の事情に応じて相談窓口に専門家を配置したり、保護者学習会を開いたりする取り組みを選択できる事業で、同省は今月9日に国会に提出される今年度補正予算案に必要な予算を盛り込み、成立し次第、希望する自治体を募ることにしている。

 文科省が10月末に公表した2023年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、全国の小中学校の不登校の児童生徒数は34万6482人に上り、11年連続で過去最多を更新した。同省児童生徒課によると、不登校の児童生徒の約4割は学校内外の機関で専門的な相談や支援を受けていないなど、保護者に十分な情報が提供されていない状況も明らかになり、早急に支援体制を強化することが課題とされていた。

 同省が新たに始める「保護者等への相談支援体制構築事業」では、▽保護者への相談支援▽保護者を対象にした学習会の実施▽広報提供体制の整備▽不登校支援に関する情報等の検討――の4つのメニューがあり、自治体が事情に応じて選択することができる。

 保護者への相談支援では、教育事務所などが保護者から相談を受ける際、公認心理師などの専門家や不登校経験のある児童生徒の保護者を配置するなど、適切な助言ができる相談体制づくりを支援する。学習会の実施では、学校内外の学びの場や相談先など適切な情報を伝える保護者学習会を開くために必要な費用を支援する。

 広報提供体制の整備では、保護者に支援機関や相談先など不登校支援に関する情報を効果的に伝えるため、ホームページの改修や新たにチラシなどの作成を支援するほか、広報内容の充実に向けて有識者から助言を受けるための費用を補助する。不登校支援に関する情報等の検討では、各自治体で保護者への相談支援体制強化に向けた検討会を開く際の費用を支援する。

 1自治体当たりの事業費は220万円程度と見込んでおり、3分の1を国が補助し、残りを都道府県や市区町村に負担してもらう。9日に国会に提出される今年度補正予算案に1億円を盛り込み、予算成立を受けて希望する自治体を募る方針。

 同省児童生徒課は「23年にまとめた『誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策』(COCOLOプラン)では不登校の児童生徒の保護者への支援を明記している。学校に行けない子どもとともに、情報不足で孤独になりがちな家族もしっかり支えていきたい」と話している。

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