地域活性化や農林水産業での所得向上のための先進的な取り組みを発信する、農水省の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の優良事例がこのほど選定され、最高位のグランプリにはコミュニティ・地産地消部門の北海道幌加内(ほろかない)高校(北海道幌加内町)が選ばれた。同校は必修科目として「そば」の授業があり、そばを通して地域交流や地域の観光資源の発信に尽力し、そば職人などの人材輩出にも貢献している。
「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」は農山漁村が持つポテンシャルを引き出し、地域活性化に取り組む事例を紹介するため、農水省が2014年度から選定しており、今回が11回目。11月25日に首相官邸で政府の有識者会議が開かれ、496件の中から優良事例として全国30件が選定された。さらに、特に優良な事例からグランプリ1件と優秀賞5件が選定された。
グランプリに選ばれた北海道幌加内高校は町立の農業高校。農水省によると、同校のある幌加内町は作付面積日本一の「そばの町」で、そば打ち技術や伝統の継承を目的に02年、必修科目として「そば」の授業を新設。生徒が講師役になって町内小中学校と継続的に交流するなど地域住民との交流に力を入れている。北海道内でのイベントにそば打ち実演で参加し、部活動の「そば局」は全国高校生そば打ち選手権団体戦で4連覇を含む7回の優勝を飾るなど成果を残している。高い技術力を身に付けた卒業生が国内外で活躍。町の観光資源である「そば」を広く発信している。
有識者会議では「人材育成と地域資源活用によるコミュニティー活性化を実現している」「高校生が、そばの町・幌加内を強く意識しながら学習活動を行っている」と高く評価された。
また、優秀賞では、コミュニティ・地産地消部門の群馬県立尾瀬高校(沼田市)が選定された。1996年度に全国初の自然環境科を新設し、尾瀬ヶ原をフィールドに自然保護活動にも力を入れてきた。自然環境をフィールドにした探究的学びを望む生徒を全国から受け入れるために地元家庭へのホームステイ制度を整備した取り組みがオリジナル性に富んでいると評価された。
同部門の愛媛県立北宇和高校三間分校・地域情報ビジネス部(宇和島市)を含めて優良事例30件に高校が3校選ばれた。選定証授与式は12月17日、三田共用会議所(東京都港区)で開かれる。