東京都教育委員会による「中学校英語スピーキングテスト」(ESAT-J)を巡って12月4日、都立高入試への活用に反対する都議や教育関係者ら4団体が都庁で会見し、機材トラブルや会場運営の不備が頻発したとする独自調査の結果を公表した。4団体は「ずさんな試験運営で受験した生徒は多大な被害を受けた」として、都教委に詳細な調査を求めるとともに、入試の合否判定への活用を中止するよう主張している。
調査はESAT-Jの終了後、11月24日から30日にかけてインターネット上で実施。中3の生徒(107件)、保護者(64件)のほか、試験監督等から計186件の回答を得た。
調査結果では試験会場の設備への指摘が相次いだ。音声に関するトラブルについて「周りの生徒の解答する声が聞こえた」との回答が69件、自由記述欄では「ホワイトノイズが大きすぎて自分の声が聞き取れなかった」とする意見が25件あった。ヘッドセットやタブレット端末などの機器について「困ったことがあった」との回答は55件。機器の不具合により「周囲の生徒の解答が聞こえる中で待機させられた後、同じ問題を出題された」として、公平性に疑問を述べる声もあった。このほか、「(試験監督による)テスト開始の合図に不備があり、再試験となった」として、試験会場のずさんな運営を問題視する意見も上がった。
タブレット端末の不具合やそれに伴う再試験について、都教委は「一部会場で発生した」と認める一方で、11月29日の都議会文教委員会で「試験は適切に行われた」と答えている。
ESAT-Jは昨年度までのベネッセコーポレーションから事業者が代わり、本年度よりブリティッシュ・カウンシルが運営を行っている。教育関係者でつくる「都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の中止を求める会」の吉岡潤子さんは、申請時点でトラブルが多発していたと指摘。都内の中学校教員から「詳細を業者に問い合わせたが、返答が来たのは試験が終わってからだった」「登録システムに不備が多く、こちらの指摘で業者がやっと気付く状態」などと、混乱ぶりを伝える声が寄せられたという。
また、出題内容について吉岡さんは「即興性が求められ、時間をかけて対策した子どもであれば対応できるという内容。日頃の学習到達度を見るアチーブメントテストとしてふさわしくない」と批判し、「さまざまな事務処理のため、教員も保護者も疲弊している。到達度テストとして不完全で、公平性も保てない試験は中止すべき」と訴えた。