文科相と財務相が見解述べる一幕 教員給与に関する文科案と財務案

文科相と財務相が見解述べる一幕 教員給与に関する文科案と財務案
参院予算委で答弁する阿部文科相=参議院インターネット審議中継より
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 参院予算委員会が12月6日開かれ、教員給与に関する文部科学省案と財務省案について、阿部俊子文科相と加藤勝信財務相がそれぞれ見解を述べる一幕があった。阿部文科相は「財務省案は教職員の定数の改善が示されておらず、子どもたちや教師に対する支援という観点から、課題の多い提案だ」と指摘。それに対し、加藤財務相は「学校教育を通じ、次の時代を担う子どもたちを育てていく教職員が時間に追われてへとへとになっていては、その役割を十分に担うことはできない」と教員の働き方改革を進める必要性を強調した。

 文科省は来年度予算案の概算要求で、教員の処遇改善策として、教職調整額を現行の4%から13%に引き上げることを盛り込んでいる。一方、財務省は働き方改革を着実に進めることを条件に、教職調整額を10%まで段階的に引き上げ、10%に達した時点で時間外勤務に見合った手当(残業代)を支給する仕組みに切り替えることを提案している。

 日本維新の会の金子道仁議員から、文科省案と財務省案について見解を問われた阿部文科相は「時間外在校等時間の縮減が容易ではない地域や学校もある中、それを教職調整額の引き上げの条件とすることは、真に必要な教育指導が行われなくなる恐れがある。学校が対応する課題が複雑化、困難化し、教師が多忙となる中、教職員の定数の改善が見られない財務省案は、子どもたちや教師に対する支援という観点から、課題の多い提案だ」と答弁した。

 それに対し、加藤財務相は「学校教育を通じて、次の時代を担う子どもたちを育てていく、その中心にあるのが教職員で、その教職員が時間に追われてへとへとになっていたのでは、その役割を十分に担うことはできない。教職員の働き方改革をしっかり進めることで、その期待に応えられるような環境をつくっていく必要がある」と述べ、「教職員の定数改善については、これまでも対応してきており、それも合わせて議論していく」と答弁した。

 金子議員から具体的な勤務時間の削減策について問われた加藤財務相は「学校・教師が担う業務に係る3分類に基づくさらなる業務の厳選、勤務時間管理の徹底、校務DXの加速化による業務の縮減などをしっかり進めることで、時間外在校等時間の縮減を図っていく。また、働き方改革の観点から、若い教員が安心して産休育休をとれる環境をつくることが重要だ。産休・育休代替教員を正規でも国庫負担対象とする制度改正も必要だと思っている」と述べた。

 阿部文科相は「2022年度の教員勤務実態調査においては、全ての職種で在校等時間が減少しているものの、依然として長時間勤務の教員も多い。また、小学校の教科担任制の拡大、生徒指導担当教師の配置拡充など、教職員定数の改善について、来年度概算要求において必要な経費を要求している。文科省としては、学校における働き方改革と学校の指導運営体制の充実を一体的に進めることが不可欠だと思っている。総合的な対策を一緒に進めていきたい」と答弁した。

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