条件付けずに教職調整額引き上げを 自民党特命委が決議へ

条件付けずに教職調整額引き上げを 自民党特命委が決議へ
決議の取りまとめに向けてあいさつする渡海委員長(左)=撮影:藤井孝良
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 公立学校の教員の処遇改善を巡り、文部科学省と財務省の駆け引きが大詰めを迎える中、自民党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」は12月6日、「教師を取り巻く環境整備のための教育予算確保に関する緊急決議案」について検討し、大筋で合意した。財務省案を念頭に、教職調整額の引き上げに働き方改革の進捗(しんちょく)といった条件を付けるべきではないとする内容が盛り込まれる見通しだ。特命委では、決議を石破茂首相に手渡すことも検討している。

 特命委では5月に取りまとめた緊急決議で、給特法で定められた教職調整額を少なくとも10%以上に引き上げるなどの処遇改善策を着実に実行するよう要望し、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)に反映された。文科省では中教審答申を受け、教職調整額を13%に引き上げることを2025年度予算案の概算要求に盛り込んでいたが、財務省は教員の平均時間外在校等時間を徐々に減らしていくことを条件に、教職調整額を段階的に引き上げていくことを提案し、対立している。

 渡海紀三朗委員長は会合の冒頭で「いよいよ正念場になってきた。われわれとしては党の中においてもしっかりとしたスタンスで臨んできたわけだが、最近になって、財政制度等審議会で全く異なる考えのプランが出てきている。これを一概にけしからんというのは簡単だが、大いなる誤解もたくさんあると思っている」と、財務省案に言及。決議を基に「特命委員会としての意思を外に向かって発信していきたい」と力を込めた。

 会合に出席した阿部俊子文科相は「学校を取り巻く環境が大きく変化する中で、教師に優れた人材を確保することは、何よりも重要だ。(25年度の)予算編成は大詰めで、このタイミングで緊急決議をいただくということで、貴重なご意見、思いをしっかり受け止めさせていただき、取り組みを進めていく」と応じた。

 決議案では、学校における働き方改革の更なる加速化、教員の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めていく方針を確認した上で、教職調整額の引き上げに条件は付けるべきではないという考えを明確に打ち出すという。

 文言の修正などは渡海委員長に一任した上で、決議は近く政府に提出される見込みで、特命委では首相官邸で石破首相に直接要請することも視野に入れている。

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