中学校の部活動継続 協賛金や人材確保へ企業と連携協定、熊本市教委

中学校の部活動継続 協賛金や人材確保へ企業と連携協定、熊本市教委
連携協定書を手にする遠藤教育長(中央左)とMYプロデュースの山森社長(中央右)、本橋取締役(右端)=提供:熊本市教育委員会
【協賛企画】
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 全国的に中学校部活動の地域移行が進む中、学校での部活動を継続する方針を打ち出している熊本市教育委員会は12月9日、市役所で協力企業MYプロデュース(熊本市)との連携協定を締結した。部活動改革を支援する協賛企業・団体を募る仕組みや、部活動指導者の確保などで同社の幅広い人脈を活用して協力していくという。協定締結式で遠藤洋路教育長は「部活動改革への支援を得るため、市役所単独で進めるよりも民間と連携する方が高い効果が期待できると考えた」と強調した。

 協定締結式には、遠藤教育長と、同社の山森英雄社長、本橋馨取締役が出席。本橋さんは熊本県域のテレビ番組などに出演してきたアナウンサーで、「モッちゃん」の愛称で知られている。遠藤教育長も「県民に広く認知されている本橋さんの力を借りたい」と期待を込めた。山森社長は「部活動の学校での継続を望む声は、いろいろなところで聞く。自分も教育的意義が高いと考えているので、力の限り支援していきたい」と意気込みを示した。この日締結された連携協定書では、持続可能な部活動に関する運営基盤の支援や広報周知の支援で連携していくことが盛り込まれている。

 市教委は2027年度から新しい仕組みで部活動を進めていく方針。11月に公表した素案では、新しい部活動の仕組みには市全体で年間約6億5000万円かかると試算し、その負担割合は受益者負担が約3億2000万円、公費負担が約1億5000万円、民間からの協賛が約1億8000万円と見込んでいる。協賛企業・団体を募るためのアドバイスで、MYプロデュース社の幅広い人脈を生かすことが期待されている。

 また、部活動指導者は学校外の人材も活用するため、人材確保に向けた民間企業・団体との関係構築やPRでも同社の人脈、ノウハウを生かすことが想定され、市教委は本橋さんにプロモーションビデオなどでの協力を依頼する意向だ。

 市教委の部活動改革に関する素案では、部活動指導者は各部4人程度とし、ローテーションで常時2人を配置。人材バンクに登録した上で指導に当たり、対価として報酬が支払われる。退職教員や社会人、大学生など地域のさまざまな人材を活用し、研修態勢も構築。教職員が部活動指導を希望する場合は兼職兼業を認め、人材バンクから派遣で同様の報酬を支払う。これまでのように部活動のために時間外勤務になっても該当する手当がなく、無償となるような状況は避ける。

 同市の部活動改革を巡っては、22年に設置した市部活動改革検討委員会で有識者が協議を重ね、今年3月、「学校部活動の教育的意義や地域の受け皿確保に見通しが立たない状況を踏まえ、教職員や地域人材で希望する者が指導することを前提に、学校部活動を今後も継続させる」と答申。その方針に沿って学校部活動の在り方の素案が作成され、11月28日に開いた市教委定例会で公表された。

 市教委の素案では、少子化の進行で1校では部員数が足りず、各学校であらゆるスポーツ競技や文化活動の部活動を維持することは難しくなることから、複数の学校の生徒が集まって活動する拠点校方式を進め、23年度で中学校42校に569部あった部活動を400部程度に減らし、部活動数の適正化を図る方針。

 また、生徒に多様な活動の機会を与えるチャレンジクラブ(仮称)を創設。シーズン制での活動や曜日を決めた活動、ニュースポーツの活動といった新たな体験をさせて、勝敗や記録を目指す競技、コンテストで上位を目指す活動だけでなく、多様なスポーツや活動に親しみ、楽しめる場を提供していくとしている。

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