闇バイト、他人事じゃない 埼玉・杉戸農高で出張授業

闇バイト、他人事じゃない 埼玉・杉戸農高で出張授業
「どれが闇バイト?」、出張授業で生徒の回答を聞くディップの堤さん(右)=撮影:水野拓昌
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 中高生を含めた若い世代の関与が深刻になっている、闇バイトに関する出張啓発授業が12月18日、埼玉県杉戸町の県立杉戸農業高校(田口剛校長、生徒641人)で実施された。求人サイト運営会社や警察署の担当者が、闇バイトを見分けるためのポイントや闇バイトに悪用されることの多いSNSに関する注意点などを説明した。

 埼玉県内では、前日の17日、千葉県の中学生が逮捕される闇バイト事件が報道されたこともあり、生徒や教員の関心は高く、この日の出張授業は全校生徒を対象に体育館で実施された。アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」などを運営するディップ(東京都港区)が展開する「高校生アルバイト応援プロジェクト」の一環で、東京、大阪などの学校に続き、同プロジェクトとして4回目の出張授業という。

 同社でプロジェクトを担当する堤花野(かの)さんが、高校生のアルバイトに関するデータやルール、働くことの意義などを説明した後、闇バイトの現状を解説。闇バイトを見分けるポイントとして、①募集元が不明確②仕事内容が分かりにくい③性別を限定している④給料が異常に高い⑤連絡方法がSNS--といった特徴を挙げ、「テレグラム、シグナルといった秘匿性の高いアプリが使われることも多い」と注意を促した。

 この後、闇バイトを見分けるクイズを出題。発言を求められた生徒は「給料が高過ぎる」「時給や労働時間が書いていない」と回答理由を答え、重要なポイントを確認していた。

 続いて、埼玉県警杉戸署の山田徳行生活安全課長が、闇バイトで逮捕された人の後悔の言葉などを紹介し、関わりそうになったときは警察に相談することが最善だと力説。「高校生の皆さんには明るい未来が待っている。相談する勇気、抜け出す勇気を持ってほしい」と呼び掛けた。

杉戸農業高校で実施された闇バイトに関する出張授業=撮影:水野拓昌
杉戸農業高校で実施された闇バイトに関する出張授業=撮影:水野拓昌

 終了後、生徒からは「事件が起きていることを、深く考えなければいけないと感じた。SNSは自分たちに身近で、知らない人がフォローしたとき、注意が必要だと思った」(3年男子)、「インスタグラムでランダムに回ってきた動画が目に入って、(危険な情報に)引っかかってしまうのが怖い」(2年女子)、「SNSを見ないようにするのは難しいので、正しい情報を身に付けるようにしたい」(1年女子)との声が上がった。

 田口校長は「ニュースでは毎日のように闇バイトの話題が出ている。より知識のある校外の人から話を聞き、生徒たちも理解できたようだ。今後も授業や進路指導の場で啓発していきたい」と話した。

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