三原じゅん子こども政策担当相は12月25日、2025年度当初予算案について加藤勝信財務相との閣僚折衝に臨み、医療的ケアが必要な子どもと家族への支援を強化するため、一時預かり事業創設やその環境整備について合意したことを明らかにした。その他、保育士の配置改善、処遇改善への予算化も合意。加藤財務相との折衝後、報道陣の取材に応じた三原担当相は「折衝で認められた事項を踏まえ、子ども、若者、そのサポートに携わる方々のため、政策の内容を充実させ、引き続き全力で取り組む」と意気込みを示した。
医療的ケア児の問題は、三原担当相が就任当初から支援強化を訴えてきた政策。25年度予算で、人工呼吸器の使用など恒常的な医療的介助が欠かせない医療的ケア児や、重症心身障害児の一時預かり事業を創設する。
実施主体となる自治体への補助を手厚くする制度で、訪問看護事業所や医療機関から看護職員の派遣を受けたり、受け入れ態勢の整った事業所に預けたりして、医療的ケア、入浴介助、見守りを実施。また、段差解消スロープ、点滴用スタンドなどの必要な備品、設備にかかる費用も助成する。一時預かり事業によって、家族の負担を軽減し、レスパイト(小休止)や就労を支援する狙いがある。
また、医療的ケア児が保育所の外で遊び、学習をする園外活動の際の移動についても補助メニューを創設し、保育の質向上を推進する。この他、虐待などで保護者と共に生活ができない児童を養護する児童養護施設や障害児入所施設への支援として、施設職員の処遇を改善することで合意した。
一方、保育士の配置改善では、半世紀以上見直されなかった1歳児に対応する保育士の配置を、「6対1」から「5対1」へ改善する取り組みを始める。こども家庭庁によると、1967年の配置基準見直し以来の改善になるという。
2025年度予算案には109億円を計上し、3つの要件を満たした施設が配置改善をする場合のための加算措置を設ける。要件は、①処遇改善などの加算を全て取得②業務のICT活用を進めている③職員の保育経験年数が平均10年以上――で、人材確保が必要となる配置基準の見直しではなく、可能な施設から始められる加算措置での対応となった。1歳児に対応する保育士の配置改善は、24年度予算に関わる閣僚折衝でも早期実現の方針が示されていた。
保育士の処遇改善では人件費を10.7%引き上げ、25年度予算案に1607億円を計上する。同時に処遇改善措置が迅速、確実に保育士、職員に行き渡るよう、事業主に実績報告を求め、施設の経営情報の見える化も推進する。