少子化対策に効果的? 文科省が給食無償化の課題を整理

少子化対策に効果的? 文科省が給食無償化の課題を整理
iStock.com/Milatas
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 文部科学省は12月27日、学校の給食を無償化した際に、どのような課題があるかを整理した結果を公表した。課題としては、児童生徒間の公平性や格差是正策としての妥当性などを挙げ、推計で4800億円以上の安定財源が必要とされる中で、少子化対策として効果的な施策であるかなどの観点から検討が必要だとした。

 2023年6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」では、給食無償化について、まずは無償化している自治体の実態などを速やかに調査し、小中学校の給食実施状況の違いや法制面も含めた課題の整理を丁寧に行い、具体的な方策を検討するとしている。

 これを受けて文科省は、24年6月に学校給食に関する実態調査を公表。子育て支援などの目的で独自に給食無償化を行っていたのは、23年9月1日時点で全体の3割に上る547自治体あった一方、完全給食の給食費(食材費相当額)は都道府県間で1.4倍弱の開きがあることや、給食を提供している学校に通っていても、アレルギーなどの理由で喫食していない児童生徒が約28万5000人いることなどが分かった。

 課題の整理にあたって文科省は、中高所得者世帯を含む全員を対象にした給食無償化は、結果的に保護者世帯の所得増加をもたらす施策であり、児童生徒の心身の発達や給食を通じた食に関する理解、判断力の育成という学校給食法の目的・目標とは異なると指摘。

 子育て支援や少子化対策のための基礎的な給付として給食無償化を捉えた際の課題として▽給食未実施校の児童生徒や給食実施校でも給食を喫食しない児童生徒などに恩恵が及ばない▽学校給食費の月額平均が都道府県間で開きがある▽すでに経済的困窮世帯は基本的に無償となっており、全員への給食無償化は経済的困窮世帯に対して追加的な恩恵がなく、格差是正の観点に乏しい▽国と地方の役割分担の在り方――などを挙げた。

 その上で、公立小中学校などの給食無償化には約4832億円の安定的な財源を確保する必要があり、限られた財源の中での給食無償化が、少子化対策に効果的な施策であるか否かという観点からの検討が必要だと結論付けた。

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