公立小中学のPTAの全国組織、日本PTA全国協議会(日P、太田敬介会長)に不適切な運営が疑われるとして、内閣府は12月25日、日Pに対して法令順守などを求める是正勧告を出した。2025年3月31日までに具体的な改善策を示した文書の提出を求めている。日Pは公益目的事業の税制優遇がある公益社団法人だが、内閣府が認定基準を満たしていないと判断すれば、公益法人の認定を取り消す可能性がある。
内閣府の勧告書では、24年7月、背任容疑で元役員が逮捕された事件に関わる22年度のビル外装改修工事を巡り、損害額を明らかにし、具体的な回復方法・再発防止策を示すことや、コンプライアンスを確保した安定的な法人運営の確立を求めている。
法人運営に関しては、事務局長をはじめとした役職員、事務員を確保し、安定的な事務体制を整備することや、不正防止の観点から内部規定や契約手続きの精査・見直し、運営に適切に関与できる外部を含めた理事、監事の選任方法の確立などの必要性を指摘している。
また、こうした改善策について、実効性のある計画を文書で提出するとともに、改善策の進捗(しんちょく)状況を半年ごとに報告することを要請している。
内閣府は「公益法人として財産保全と法人運営のガバナンスは重要」と指摘し、日P の改善策を注視する姿勢を示している。内閣府によると、日Pは全国の都道府県・政令市PTA協議会61団体で構成され、児童生徒数に応じて納入される会費などを財源に活動し、年間事業費は約1億8000万円とされる。
検査を実施した内閣府公益認定等委員会は、経理や文書管理で実務の責任や権限がある事務局長、事務局次長が不在の状態が数年続いていたことや、日Pの報告から、21年度末に事務局職員が全員退職し、事務局内の監視機能が働かない中で元役員主導の不適切な契約による工事が繰り返されたと指摘している。
日Pはホームページに「内閣府の立ち入り検査後に求められた報告の回答を踏まえ、さらなる法人運営の適正化と改善を求められている。今後、その内容について真摯(しんし)に対応するとともに改善計画の策定を進め、公益社団法人としての運営の適正化・改善に努めていく」とする太田会長のコメントを掲載している。
日Pを巡っては、法人資格を審査する公益認定等委員会が立ち入り検査の結果を踏まえ、日Pの運営に適正さが欠ける疑義があるとして、10月、書面報告を求める行政指導をした。11月に日Pから報告を受け、同委員会が審査した結果、12月25日、内閣府に日Pへの是正勧告を実施するよう報告した。