理数分野のジェンダーギャップが課題となる中、理系を選択した女子の28.7%が母親から、20.5%が教員から、自身の選択を後押ししてくれる「プラスの影響」を受けたことが、公益財団法人・山田進太郎D&I財団とスタディプラスの共同調査でこのほど分かった。文系を選択した女子に比べ、理系を選択した女子の方が、父親による影響が大きかった。また「理系に向いている」と感じる男子は50.1%だったのに対し、女子は31.2%にとどまり、20ポイント近い開きがあった。
調査は学習管理アプリ「スタディプラス」を利用する全国の高校生、大学1・2年生を対象に同アプリ上で実施、8831人から回答を得た。
文系・理系の進路選択に当たりプラスの影響を受けた人物について尋ねると、男子は▽母親18.7%▽父親18.1%▽教員17.2%▽友人13.8%▽有名人/インフルエンサー10.4%――だった。女子は▽母親29.5%▽教員22.4%▽父親10.9%▽友人8.7%▽映画・ドラマやアニメなどの登場人物8.2%――となった。
理系を選択した女子では▽母親 28.7%▽教員 20.5%▽父親13.7%▽映画・ドラマやアニメなどの登場人物 10.4%▽友人 8.5%。一方、文系を選択した女子では▽母親 30.3%▽教員24.7%▽友人 9.0%▽父親 7.8%▽有名人/インフルエンサー 6.3%――となり、文系を選択した女子と比べ、理系を選択した女子では父親の影響が大きくなっていた。
この結果に対し、かえつ有明中・高校で理科主任を務める深谷新教諭は「文理選択に影響を与えた存在として、母親や父親、教員などの『身近な大人』を挙げた割合が女子では7割に達している点が興味深い」と指摘した。
理系科目への意識についても男女で差が目立つ結果に。「理系に向いていると思うか」との質問に対し「向いている」と答えた男子は50.1%を占めたが、女子は31.2%と男女で18.9ポイントの差があった。反対に、理系に向いていると「思わない」「強く思わない」女子は計49.8%、男子は計30.5%だった。
また、「理系科目で良い成績が取れるか」と尋ねると、男子の60.5%が「そう思う」「強くそう思う」と答えたのに対し、女子では41.7%にとどまった。ただ一方で、最終的に選択した進路では男子の59.8%、女子の51.2%が理系を選択していた。
前出の深谷教諭は「中高生に理科を教える立場として日々感じていることを裏付ける内容」だとして、「理系分野で活躍する大学生や社会人と直接触れ合う、学校での『対話会』の実施が有効と考えられる」と提案した。