地域の課題となっている小学校の小規模校化などに対応できる次世代リーダー教員を養成するため、鳴門教育大学と徳島県教育委員会はこのほど、同大の2027年度入試(26年度実施)から「地域教員希望枠」を導入すると発表した。。同県内の小学校では単学級校が増加しており、今後は学校間連携を推進する力などを持つ人材が必要になる。学部4年間と教職大学院3年間の7年一貫型で、同県の未来の教育を担う教員を安定的・継続的に育成していく。
全国的に少子化が進む中、同県では13年度から22年度の10年間で小学校に在籍する児童数は約12%減り、30年度には現在の児童数からさらに19.5%減となることが予測されている。また、県内の小学校では単学級校が増加しており、24年度の39校から31年度には56校に増える見通しだ。
こうした状況を踏まえ、県内のさまざまな課題への対応力を持ち、学校間連携を推進し学校力を強化できる若手リーダー教師を養成しようと、同大と同県教委が連携し、地域教員希望枠「徳島スーパールーキー教員養成プログラム」を開設する。
地域教員希望枠は、県内のみならず県外からも出願可能とし、入学定員は5人。出願資格を得るには、高校段階から同学が主催する高校生向けのセミナー「徳島で輝く先生になる!鳴教プロジェクト」(仮称)を修了する必要がある。同セミナーは県外の高校生も受講できるよう、オンラインやオンデマンドなども検討されている。
27年度入学生からは、同プログラムの特設科目群として「徳島県中核教員養成科目群」を設定。教職に対する意欲や学習指導力、生徒指導力といった基盤的な力量に加え、▽教師として主体的に学ぶ力・スキル▽小規模化する学校の教育力の維持・強化に向けた手だてを探究していく力▽ICTの活用などにより学校間連携を構築・推進できる力▽リーダー教員として教員集団をファシリテートする能力――の4つの力量育成を目指す。
また、教職大学院1年目には同県教員採用試験を受け、2年目は小学校教員として学校現場で勤務し、3年目も勤務を続けながら大学の遠隔教育システムなどを活用して学修し、専門職学位を取得するとしている。教員採用試験時には特別選考などが検討されている。
鳴門教育大学の企画調整役・牧野浩司氏は「小学校の小規模校化は今後も進んでいく。それを踏まえ、どういう人材が必要かを県教委と共に協議し、地域教員希望枠を導入することとした。小規模校において学校間連携を図っていくコミュニケーション力や、地の利を越えてさまざまなところとつながっていくためのICT活用力など、徳島県の未来の教育を担う次世代リーダー教師を安定的・持続的に育成していく」と意気込んだ。