発達段階に応じて利活用を 学校での生成AIガイドライン改訂

発達段階に応じて利活用を 学校での生成AIガイドライン改訂
iStock.com/Annandistock
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 文部科学省はこのほど、学校での生成AIの利活用に関するガイドラインの改訂版を公表した。「人間中心の原則」を打ち出し、教職員や児童生徒が学校で利活用する際の考え方や、具体的な利活用例などを示す内容となっている。特に小学校段階については「発達段階を踏まえたより慎重な見極めが必要」と記し、不適切と考えられる例も示して、学校現場での適切な判断を求めている。

 学校での生成AI利活用を巡っては、同省が2023年7月に暫定的なガイドラインをまとめて公表したが、その後、急速な技術の進化などを踏まえて有識者会議を設置し、改訂に向けた議論を重ねてきた。

 改訂版では、基本的な考え方として「人間中心の原則」を打ち出し、生成AIは有用な道具になり得るものと捉えるべきとしながらも、「リスクや懸念を踏まえつつ、最後は人間が判断し、責任を持つことが重要である」と強調している。その上で児童生徒には生成AIの仕組みの理解とともに、情報活用能力の育成を充実させることが必要だとしている。

 学校現場での教職員や児童生徒が利活用する場面や具体例も示した。教職員については校務の効率化や質の向上、働き方改革につなげることが期待されるとして、▽授業準備など生徒指導に関する業務への支援▽学校運営に関わる業務の支援▽保護者会など外部対応への支援――などを挙げている。

 児童生徒の学習活動については、「発達段階や情報活用能力の育成状況に留意しつつ、リスクや懸念に対策を講じた上で利活用を検討すべき」とし、▽生成AIが生成する誤りを含む出力を教材に、その性質や限界に気付く▽英会話の相手としての活用▽児童生徒のアイデアを実現するプログラム制作への活用――などを挙げた。

 特に小学校段階については「発達の段階等を踏まえたより慎重な見極めが必要である」とした上で、「生成AIによる体験を積み重ねることで冷静な態度を養うことが重要と考えられる」と記述し、不適切と考えられる例を示して、学校現場での適切な判断を求めている。

 同省は昨年12月26日に、ガイドライン改訂について都道府県教委などを通じて全国の学校に通知した。この中では、「学校現場で押さえるべきポイントを現時点の知見を基に可能な限り具体的に示した」と強調し、改めて適切な対応を求めた。

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