受験シーズンを目前にした1月4日に突如、教室を閉鎖した大学受験予備校の「ニチガク」。大学入学共通テストまで2週間を切る中、他の予備校などから、困難を抱えた受験生に対する支援の輪が広がっている。
ニチガクと同じ東京・新宿区内にある大学受験予備校「慧修会」は7日、ニチガクに通っていた生徒を対象に支援を開始。自習室を開放するほか、各教科の質問対応や学習相談、試験期間中のメンタル・ケアをいずれも無料で行うとしている。
慧修会の担当者は「支援を公表後、保護者から1件の問い合わせがあった。自習室の席数に限りはあるので、申し込みが殺到すれば打ち切る可能性もあるが、現状では人数制限は考えていない。時期が時期なので、なんとか生徒の力になれることをしたい」と話す。
また、学研ホールディングスのグループ会社「学研エル・スタッフィング」が運営する「学研の家庭教師」も8日、ニチガク閉鎖の影響を受けた生徒への救済支援策を発表。オンライン自習室の開放に加えて、高校1・2年生は3月末まで最大8回分(960分)、高校3年生・既卒者は受験日まで最大4回分(360分)の無償指導を提供するという。
さらにニチガクで働いていた講師やスタッフについても、教育関係の仕事を紹介するなどの支援を行う予定だ。支援の利用にあたっては、同社が設置した無料相談窓口で受け付けている。その際、ニチガクへの申込書や契約書などの確認が必要になる。
「学研の家庭教師」は「ニチガクの突然の閉鎖は、多くの受験生や講師にとって深刻な影響を与えるものと受け止めている。教育機会を守り、安心して学びを継続できる環境を提供することで、少しでもお役に立ちたいと考えている」と述べた。
ニチガクを運営する日本学力振興会は4日、本社事務所に「破産申立てを視野に入れ、債務を整理する予定」と掲示。信用会社「東京商工リサーチ」などによれば、同会には40年以上の指導実績があったものの、少子化や同業との競合により生徒数が減少。資金繰りの悪化から債務支払いのめどが立たず、今回の事態に至ったという。