大学入試の早期化について、6割以上の高校が好ましくないと捉えていることが1月9日、リクルート進学総研が行った高校教育改革に関する調査で明らかとなった。進路指導上の課題でも入試の多様化が最も多く挙がり、大学入試改革によって高校の進路指導の負担が大きくなっていることが伺える。
調査は2024年9月5~20日に、全国の全日制高校4679校を対象に、郵送・インターネットで実施。671件の回答を得た。
大学入試の早期化についてどのように感じているかを尋ねたところ、「あまり好ましくない」「非常に好ましくない」の合計は63.0%に上った(=グラフ)。
学科別で見ると総合学科は他の学科と比べて「とても好ましい」「まあまあ好ましい」と答える割合が高く、進学率が高い高校ほど、好ましくないと感じる傾向にあった。地域別では、関東・関西では好ましくないと感じている割合が7割以上だった一方、北海道、東北、九州・沖縄は5割台で、地域差が見られた。
自由記述に寄せられた意見を見ると、好ましいと感じている高校では「生徒の強みを存分に発揮できる。目標が明確な生徒にとっては、低学年時から推薦入試対策を考えることができる。進路指導の幅が広がり、入試に向けた戦略を立てやすくなった」や「学力不足の生徒にとっては、年内入試でさまざまなアピールをして入学できる機会があることはとても喜ばしい」など、学校推薦型選抜や総合型選抜といった入試の多様化で、生徒の選択肢が広がることを好意的に捉えていた。
それに対して好ましくないと答えた高校では、「早く始まる分、早く合格が出て、その後の授業への意欲が下がる生徒が多いため」や「教科書が終わらないうちに受験させ、結果が出るのは困る」など、生徒の学習意欲や学習進度への影響を指摘する声が多かった。
また、進路指導上の課題では「入学者選抜の多様化」が62.0%で最も多く、次いで「教員が進路指導を行うための時間の不足」(60.4%)や「学習意欲の低下」(54.7%)が続いた。「入学者選抜の多様化」は21年に行った前々回の調査以降、増加が続き、今回の調査で最多となったほか、「学習意欲の低下」は22年に行った前回調査と比べて9.2ポイントも増加した。
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年内入試 大学入試の一般選抜は年明けに実施されるが、学校推薦型選抜や総合型選抜などは年内に行われ、進路が早めに決まりやすい。学校推薦型選抜・総合型選抜を行う大学・学部や、それによる入学者は増加する傾向にある。