「このニュース、どう思う?」――。日々報道される教育ニュースについて、教員などが学校現場の目線で語る新コラム「職員室の立ち話」をスタートします。ぜひ、同僚と「立ち話」をするような感覚でお楽しみください。
今日の話題
【教員の精神疾患】過去最多の7119人休職 生徒指導など要因
今日はこの人と立ち話
ゆきこ先生(学校コンサルタント、元公立小教員)
精神疾患で休職した公立学校の先生が7119人。「そうだろうな」と思いました。私自身も公立小教員時代、適応障害になり、ある日突然、学校に行けなくなった経験があります。私のインスタグラムにも、しんどい思いを抱えている先生たちから声が届きます。「なんだか訳が分からないけれども涙が出てくる」と、みんな口をそろえて言います。
今回、初めて休職の要因が調査されましたが、これはきっと心がぽきっと折れた一つのきっかけでしかないと思うんです。いろんなことが積み重なって、もう限界だけれども休む暇もない。休んだ方が誰かに迷惑を掛けるから、余計に苦しくなる……。
20代の先生は、業務量の多さや子どもたちの対応、保護者対応が大変なことなどが、しんどさの多くを占めています。それが30代になると、「ライフステージが変わることによる大変さ」も加わってきます。
結婚して子どもが生まれたママ先生は、「母としての自分と、先生としての自分の折り合いがつかなくなる」という切実な悩みを抱えています。パパ先生も同じ。30代男性というだけで高学年を任されたり、研究主任など重要な校務分掌を任されたりすることが増えて、「本当はわが子との時間も取りたいのに……」と悩んでいます。
子どもがいなくても、30代にもなれば仕事の量が増え、責任は重くなります。自分も周りもライフステージが変わって、自分よりも大変そうな人がいる。「自分しかやる人いないしなぁ」と思って引き受けちゃうんですよね。
でも、「自分はメンタル不調とは無縁だと思っていた」という人だって、精神疾患になるんです。だから「自分は大丈夫」とは思わないでほしい。
しんどくても、どこかで休憩できるポイントがあれば、いくぶん楽になるので、やっぱり人を増やすことが一番必要だと思います。「自分が休めば誰かにしわ寄せがいく」ことが、いとも簡単に想像できてしまうと休めません。せめて学年に1人、余裕のある配置になるといいなと思います。
私のお勧めは、職場である学校や家庭以外にも「居場所」をつくること。たとえ学校がうまくいかなくなっても、他の居場所があることで救われます。そういう第3、第4の「居場所」と関われる時間と余裕がつくれるように、「メンタルヘルス対策」と「働き方改革」は両輪で進めていく必要があると思います。
【プロフィール】
ゆきこ先生 福岡市の公立小学校の教員や横浜市の公立小学校の非常勤講師を経て、現在は私立小中学校のインスタグラムの運用やコンサルティングをしたり、小学校でのインスタグラム発信授業を担当したりするなどの活動をしている。インスタグラム:yukikosan.t